本研究は、骨格筋と大脳・嗅球に特異的に存在するカルノシンの生理的役割について、エネルギー代謝の面から解明することを目的とした。カルノシンはβアラニンとヒスチジンからなり、ヒトの骨格筋中では20 mMの高濃度で存在する。しかし、その生理作用については未だ十分に解明されていない。そこで、カルノシン合成酵素遺伝子を骨格筋細胞に導入した評価系とこの遺伝子を欠損させたマウスの評価系の2種類を用い、エネルギー代謝への影響を調べた。カルノシンはピルビン酸からアセチルCoAへの反応に関与し、結果的にエネルギー生産量を増大させることを期待したが、骨格筋中のATP合成には直接的な関与は認められなった。
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