研究課題/領域番号 |
18K05956
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研究機関 | 麻布大学 |
研究代表者 |
勝俣 昌也 麻布大学, 獣医学部, 教授 (60355683)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 時間栄養学 / ブタ |
研究実績の概要 |
4週齢の去勢雄豚を不断給餌条件下で3週間飼育した。飼育室は7時に照明を点灯し、19時に消灯した。 飼育期間中、7時~13時、13時~19時、19時~7時の3つの時間帯の1時間あたりの飼料摂取量を測定したところ、それぞれの時間帯の摂食量は49g/h、75g/h、25g/hとなり、明期の後半に活発に飼料を摂取していた。 小腸の2糖類分解酵素活性とアミノペプチダーゼ活性の日内変動を明らかにするために、3時、9時、15時、21時に空腸と回腸を採取しスクラーゼ、マルターゼ、ラクターゼ、アミノペプチダーゼNの活性を測定した。試料タンパク質1mgあたりの比活性は、空腸ではいずれの酵素も9時がもっとも高く、次いで21時が高かった。回腸ではスクラーゼとマルターゼの活性は9時にもっとも高かったが、ラクターゼとアミノペプチダーゼNの活性には明確な日内変動は観察できなかった。 空腸でいずれの酵素も9時の活性がもっとも高かったのは、明期の始まりで酵素活性のスイッチが入ったこと、次いで21時の活性が高かったのは摂食量が明記の後半に高かったことと関係があるのかもしれない。また、測定したいずれの酵素の活性も回腸のほうが空腸よりも高かったことから、二糖類とペプチドはおもに空腸で消化されていると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
育成豚は明期の後半に活発に飼料を摂取していることを明らかにした。さらに、空腸の2糖類分解酵素とアミノペプチダーゼNの活性に日内変動があることを示唆するデータを得たことから、当初の計画どおりおおむね順調に進展していると評価する。
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今後の研究の推進方策 |
現在4反復実施したところなので、さらに1~2反復実施して、2糖類分解酵素とアミノペプチダーゼの活性の日内変動について結論を得る。これらの消化酵素の活性の日内変動の作用機作について検討するために、空腸と回腸の時計遺伝子の発現量を測定する。さらに、小腸のアミノ酸輸送タンパク質の遺伝子の発現量を測定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2018年度は予定していた4反復の飼養試験を実施し、空腸と回腸の消化酵素活性についても予定していた分析を実施することがきた。2019年度は遺伝子発現の分析など、試薬に係る経費が多くなることが予想されたため、余裕をもって分析を進める必要があった。加えて、2019年度にInternational Symposium on Energy and Protein Metabolism and Nutritionがブラジルで開催され、このシンポジウムで2018年度の成果を発表するための渡航費も必要となった。これらの理由から、2018年度の予算額の一部を2019年度に使用することとした。
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