研究課題/領域番号 |
18K05957
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研究機関 | 麻布大学 |
研究代表者 |
野口 倫子 麻布大学, 獣医学部, 講師 (40506721)
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研究分担者 |
鈴木 武人 麻布大学, 獣医学部, 准教授 (90532052)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ブタ / 泌乳誘起 / 内分泌 |
研究実績の概要 |
産業動物において、産まれたばかりの新生子が生後24時間以内に摂取した「初乳」の量や質は、その動物の育成率(生存率や発育性)に大きな影響を及ぼす。通常、哺乳動物から「初乳」を得るためには、分娩後数時間以内に母畜から搾乳する必要があり、時間的制限があるうえ非常に労力がかかる。我々はこれまでに、ブタの妊娠認識物質であるエストロジェンを、ブタの妊娠認識が起こる時期に筋肉内投与することにより、妊娠状態を再現する技術(偽妊娠誘起、偽妊娠豚)を確立した。さらに、この偽妊娠豚に対し、乳腺発達と泌乳誘起を目的としてそれぞれエストロジェンおよびプロスタグランジン(PG)F2αを追加投与すると、「初乳」を人為的に得ることが可能であることを示した。本研究では、この技術を発展させ、より効率的に泌乳を誘起し、かつ、乳量を確保するための条件(課題1.射乳促進のための条件検討;課題2.乳腺発達促進のための条件検討)を検討することで、全ての子ブタがいつでも初乳を十分量飲むことが可能な子ブタ育成補助技術を確立し、生産現場における子ブタの育成率改善に貢献することを目指す。 我々は、これまでにPGF2αを用いた黄体退行誘起処置に加え、射乳を促進する目的でオキシトシンを偽妊娠豚に投与することにより、泌乳誘起効率が上昇する(オキシトシン無処置群 vs. オキシトシン処置群=50% vs. 85%)ことを明らかにした。また、オキシトシン投与は、PGF2α投与後24時間目に得られる免疫グロブリンが高濃度で含まれている乳の量を増加することが示された。しかし、泌乳誘起豚へのオキシトシン投与は、処置後の処置豚の末梢血中プロジェステロンおよびプロラクチン濃度に明らかな変化を及ぼさないことが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
産前・産後および育児休業を取得していたため。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、①射乳促進のための条件検討(2018~2019年度)および②乳腺発達促進のための条件検討(2018~2020年度)を行う予定であった。しかし、産前・産後および育児休暇のため、2018年度は①のみしか行えていない。そこで、研究再開後は①の試験は当初予定通りに行い、②について2019~2021年度に行うこととする。
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次年度使用額が生じた理由 |
産前・産後および育児休業を取得していたため、研究実施計画に遅れが出ている。そのため、次年度に使用額を持ち越し、遅れた研究に必要な資金として使用する。
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