研究課題/領域番号 |
18K05960
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
室谷 進 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 畜産研究部門, ユニット長 (50355062)
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研究分担者 |
後藤 貴文 鹿児島大学, 農水産獣医学域農学系, 教授 (70294907)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | microRNA / 黒毛和種牛 / 代謝プログラミング |
研究実績の概要 |
2018年度は、代謝プログラミング研究のためにこれまでに栄養条件を通常の120%または60%に設定して飼養された黒毛和種妊娠牛から、動物福祉に配慮しつつ動物実験の実施規程のもと、鹿児島大学との共同で帝王切開により胎仔を取り出し、その組織各種のサンプリングを実施した。妊娠母牛は、胎仔を取り出した後に閉腹手術を施した後に予後を見ながら牧場に戻した。胎仔の骨格筋(最長筋等の4種)、心臓、腎臓、肝臓、胸腺、胎盤、血液等の組織サンプルについて、RNA、DNA/タンパク質、組織染色等の用途に分けてサンプリングを合計14頭について行った。サンプリングの後、解剖学的部位別に、骨格筋、脂肪、骨等の組織を分類し各組織の重量を測定し、各組織の重量を栄養条件120%と60%との間で比較、解析した。その結果、体重、骨格筋、脂肪、骨に有意な差があることが判明した。この結果をもとに、母牛栄養条件の間で体重差の大きい胎仔(♂)各4頭ずつを選び、骨格筋および肝臓サンプルから全RNAを市販のmicroRNA抽出キットを用いて抽出することでmicroRNA試料を調製した。試料のRNA量、濃度等を測定し、品質を確認した後、ウシmicroRNA検出用にデザインしたカスタム仕様のAgilentマイクロアレイスライドを用いて発現解析を実施した。統計解析の結果、骨格筋で13種、肝臓で9種のmicroRNAに母牛栄養条件による発現の違いが認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2018年度は、各母牛栄養条件につき3~4頭程度の胎仔のサンプルを採材することを計画していたが、これまでに各試験区7頭ずつ、合計14頭分の各種組織のサンプルを採材し、2種の組織についてmicroRNAを調製、マイクロアレイ解析の結果を得ており、当初の計画以上に進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度は、これまでに得られた各試験区の骨格筋および肝臓におけるmicroRNA発現プロファイルを用い、さらなる統計解析と定量的PCRによるヴァリデーションとともに、microRNAの標的遺伝子予測とその遺伝子オントロジー解析を行う。これにより、母牛栄養条件の差異がもたらす胎仔のへの細胞生物学的な影響を明らかにする。また、予算の都合にもよるが他の組織についても同様に解析を進めることを検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
サンプリングの器材や試薬の調達にかかった費用が想定以下であった。また、マイクロアレイ解析等にメーカーのキャンペーン等を効率よく活用できたため。このため、次年度は前倒しで他の組織をマイクロアレイ解析に供する等、研究を一層先に進めるよう検討する。
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