研究課題/領域番号 |
18K05968
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
柴田 早苗 岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (20588917)
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研究分担者 |
小野寺 理沙子 熊本大学, 大学院生命科学研究部(薬), 特任助教 (60720399) [辞退]
オブライエン 悠木子 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (20582464)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | レミフェンタニル / オピオイド / 犬 |
研究実績の概要 |
レミフェンタニル(RF)はmuオピオイド受容体に作用することによって強力な鎮痛効果を示す。猫では犬よりもRFによる鎮痛作用が弱いことが報告されているが、その原因は不明である。猫のRF耐性メカニズムを解明するためには、犬と猫におけるRFの薬物動態を比較検証する必要がある。過去の研究において、全血を用いたRF濃度測定法が模索されたが、RFの抽出が不十分であり、安定した測定が困難であった。そこで本研究では、犬の血漿を用いたRF濃度測定法を確立するとともに、麻酔中の犬におけるRFの薬物動態を解析した。 血漿中のRFおよびNFを検出したところ、RF濃度とRF/NFピーク面積の間に直接的相関(相関係数 0.99)を持つ検量線が得られた。全ての濃度で十分な検出強度であったことから、犬における血中RF濃度測定法は確立されたと考えた。麻酔中の犬にRFを投与したところ、RF濃度は投与開始4分後に最高血漿中濃度に到達し、それ以降は速やかに低下した。ノンコンパートメント解析を実施したところ、最高血漿中濃度(Cmax)は162.1±77.9 ng/mL、最高血漿中濃度到達時間(Tmax)は4±0.9 分、薬物血漿中濃度-時間曲線下面積(AUC)は773.3±284.9 ng・min/mL、消失速度定数(kel)は0.156±0.02、消失半減期は4.53±0.63分、全身クリアランス(CLtot)は11.4±4.8 mL/min/kg、分布容積(Vd)は75±38.2 mL/kg 、平均滞留時間(MRT)は5.19±0.97 分であった。消失半減期およびMRTは過去の研究と類似する一方、CLtotは低い値を示し、先行研究と比較して体内からの排泄が遅いことが示唆された。Vdは犬の血液量に近い値を示したため、RFの分布は血液に限られており、組織移行性が低いことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍により、共同研究の進捗が悪く、その点においてやや遅れていると考えている。そのため、2022年度に予算を使い切ることができず、2023年度まで計画を延長した。
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今後の研究の推進方策 |
レミフェンタニルの検出系については、完全に確立された。今後は、猫を用いた研究を進め、猫におけるレミフェンタニル薬物動態解析を実施し、犬の薬物動態と比較検証する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により、共同研究の進捗が悪く、予定していた実験を全て実施することができなかった。そのため、次年度使用額が生じてしまった。
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