研究課題/領域番号 |
18K05971
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
高木 光博 山口大学, 共同獣医学部, 教授 (40271746)
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研究分担者 |
宇野 誠一 鹿児島大学, 農水産獣医学域水産学系, 教授 (50381140)
宮本 明夫 帯広畜産大学, 畜産学部, 教授 (10192767)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ウシ / カビ毒 / フラクトオリゴ糖 |
研究実績の概要 |
畜産現場において、家畜に給与する飼料中のカビ毒 (真菌が産生する二次代謝産物で、ヒトを含む動物に対して毒性や発ガン性が有る) の防除対策は世界的な克服課題である。本研究は、実験動物モデルで腸管からのカビ毒吸収阻害作用が報告されたオリゴ糖(FOS)を牛飼料に添加投与し、添加前後の尿中カビ毒濃度を指標とした牛でのカビ毒吸収阻害効果を初めて検証することを目的とした。黒毛和牛肥育牛群におけるDFAⅢ添加によるMT吸収阻害効果を検証することを目的とし、比較は15頭ずつの2群間で、FOS添加群と無添加の対照群とした。FOSは朝と夕方の2回添加を2週間継続し、Day0(実験開始日)、添加1週間後(1wk)、2wks、3wksにそれぞれ採尿および採血を行った。測定は尿サンプルはLC/MS/MS法により尿中ゼアラレノン(ZEN)とその代謝物であるα-ゼアラレノール(ZOL) およびβ-ZOL濃度の測定を、またFOS添加による腸管からのイオン吸収能の変化を確認するために血清中のCa、Mg、iP濃度の測定も行った。その結果、FOS添加群において添加期間中の尿中ZEN、α-ZOL、β-ZOL濃度は対照群と比較して有意に低下することが確認された。さらに、3wksにおいてiP濃度が有意に高くなった。本研究の結果から、飼料へのFOS添加により、尿中ZENおよびその代謝物濃度が低下すること、すなわち腸管からのZEN吸収が低減することが明らかとなり、それはFOS添加により腸管タイトジャンクションの消化管バリア機能増強による腸管からのMT吸収阻害効果による可能性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本申請課題においては以下の4研究課題、①FOS添加が消化管バリア機能に与える臨床的評価、②カビ毒浸潤動態と血中抗ミューラー管ホルモン(AMH)濃度との関連性、③カビ毒浸潤動態とメタボローム解析との関連性、及び④牛卵管上皮細胞培養モデルを用いたZEN浸潤の繁殖性への影響、を行う予定であり、①と②についてはすでに試験を終えて、得られた成果は論文としてすでに発表を行なっている。②と③に関してはすでにサンプリングは終えており、②については追加測定を検討しているものの、すでにある程度の結果は得られており、今後得られる測定結果と併せて最終的な解析を行う予定である。一方、③については当初ガスクロマトグラフィー質量分析法(GC/MS)を用いた研究を行う計画であったが、ガスクロマトグラフィー測定に必要なヘリウムガスのわが国における供給がストップしているために、測定を中断している。現在、ヘリウムガスの供給を待つとともに、③の研究課題を代替する液体クロマトグラフィー液体クロマトグラフィー(LC/MS)法を用いる別の研究課題を行うための、測定系の確立作業を行なっている。以上のことから、おおむね順調に進展しているとの評価を行なった。
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今後の研究の推進方策 |
現在までの進捗状況で記載の通り、現在研究課題②及び③についての検討を主に行なっており、②に関しては牛群を追加してサンプリング数を増やすとともに、継続して血中AMH濃度の測定を行なって、データベースの蓄積を行うこととする。③に関しては、GC/MSが使用できない場合を念頭に、現在行なっているLC/MS法の確立を目指すとともに、当初想定していたメタボローム解析を代替するために、血中低級脂肪酸濃度の解析を行って、添加したFOSにより腸管内で明らかに発酵過程を経て、低級脂肪酸合成が行われたことを確認するとともに、FOS添加が腸管上皮細胞タイトジャンクションの消化管バリア機能に間接的な影響を与えた可能性を検証することを目的にした研究を推進する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していたGC/MSを用いたメタボローム解析を行う研究について、上述の通りGC/MSの使用が不可能であったために、そのための消耗品類や実際に測定を行うための移動にかかる旅費などを執行できなかったことが大きい。さらに、日程の調整できなかったことによる、海外共同研究者を訪問しての共同研究の打ち合わせ作業ができなかったこともその理由である。本年度は昨年度の代替試験、測定を行う予定であり、それにかかる消耗品類や旅費として使用する予定である。さらに、共同研究打ち合わせを行うための、海外旅費としても使用する予定である。
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