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2021 年度 実績報告書

代謝プロファイル解析によるリンパ腫新規治療戦略の展開

研究課題

研究課題/領域番号 18K05972
研究機関山口大学

研究代表者

奥田 優  山口大学, 共同獣医学部, 教授 (10325243)

研究分担者 上林 聡之  山口大学, 共同獣医学部, 助教 (50796414)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワード犬 / リンパ腫 / メタボローム解析 / 2-ヒドロキシグルタル酸 / イソクエン酸脱水素酵素
研究実績の概要

犬のリンパ腫は発生頻度の高い悪性血液系腫瘍の一つであり,臨床上大きな問題となっている。本研究では,犬のリンパ腫細胞における代謝産物を解析することで,リンパ腫細胞において依存性の高い代謝経路を明らかにし,その阻害が新規治療の標的となるかを明らかにすることを最終目的として研究を行った。
最初に犬のリンパ腫培養細胞株を用いてCE-TOFMSによるメタボローム解析を行い,2-ヒドロキシグルタル酸(2-HG)の蓄積が生じていることを明らかにした。ヒトの一部の腫瘍ではイソクエン酸脱水素酵素(IDH1,IDH2)をコードする遺伝子の点突然変異によって,TCA回路においてイソクエン酸からα-ケトグルタル酸(α-KG)が変換される代わりにオンコメタボライトの1種である2-HGへの変換が起こり,2-HGが細胞内に異常に蓄積することが知られている。そこで本研究では犬リンパ腫細胞株を用いてIDH1およびIDH2遺伝子変異の解析を行ったが,アミノ酸変異を伴う遺伝子変異は確認されなかった。しかし,興味深いことに,リンパ腫罹患犬11頭より採取した血漿における2-HG濃度を測定したところ,健常犬に比べて有意に高濃度であり,犬のリンパ腫では変異型IDHに依存しない2-HG産生経路が存在する可能性が示唆された。
本研究では,犬のリンパ腫細胞において2-HGが何らかの役割を果たしている可能性が示唆されたものの,その原因や機能の解析を十分に行うことはできなかった。しかしながら,犬のリンパ腫症例におけるバイオマーカーとして,2-HG濃度の測定が応用できる可能性が示唆された。今後は2-HG濃度増加のメカニズムやその機能を解析し,症例数を増やしたさらなる検討を行うことによって,2-HGをターゲットとした治療や診断への応用が進むことが期待される。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Expression of DEP Domain-Containing 1B in Canine Lymphoma and Other Types of Canine Tumours2021

    • 著者名/発表者名
      Morinaga Yuki、Igase Masaya、Yanase Takuma、Sakai Yusuke、Sakai Hiroki、Fujiwara-Igarashi Aki、Tsujimoto Hajime、Okuda Masaru、Mizuno Takuya
    • 雑誌名

      Journal of Comparative Pathology

      巻: 185 ページ: 55~65

    • DOI

      10.1016/j.jcpa.2021.04.005

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Systematical Analysis of p16 in Canine Lymphoma Cells2022

    • 著者名/発表者名
      Leni Maylina, Satoshi Kambayashi, Kenji Baba, Masaru Okuda
    • 学会等名
      The 8th Asian Society of Veterinary Internal Medicine Meeting
    • 国際学会

URL: 

公開日: 2022-12-28  

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