研究課題/領域番号 |
18K05978
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
東 泰孝 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (50298816)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | IL-19 |
研究実績の概要 |
2020年度は、脂肪肝から肝線維化へと進行する2019年度とは別の異なるモデルを用いて、慢性肝疾患の病態発症におけるIL-19の役割解明を試みた。用いたモデルは、特殊飼料を一定期間給餌させることにより作製した。特殊飼料の組成および給餌期間については、特許申請を念頭に置いているため開示はできない。この特殊飼料を用いて、IL-19遺伝子欠損(IL-19KO)マウスと野生型(WT)マウスを一定期間飼育した。また、対照として、IL-19KOマウスとWTマウス、ともに通常食にて飼育した群を用いた。 WTマウスは普通食と比べて、中等大の比較的揃った脂肪滴がびまん性に分布した。CD68染色により炎症細胞浸潤は散見されたものの軽微であった。また線維化を評価するために特殊染色であるアザン染色を施したところ、線維化はほとんど認められなかった。これに対しIL-19KOマウスでは、WTマウスに比べて血清中に逸脱した肝酵素であるALTが高い値を示した。しかしながら、同じく血清中に逸脱した肝酵素であるASTに差は認められなかった。また、脂肪変性はWTとほぼ同程度であったものの、CD68染色により評価した炎症細胞浸潤はWTよりも増加していた。さらに、線維化の促進に関与する因子群であるα-SMA、TGF-β、およびコラーゲン1a1の発現量はWTマウスよりもIL-19KOマウスで有意に増加していた。したがって、IL-19KOマウスは飼料給餌による肝線維化モデルにおいて線維化の悪化が認められたことから、IL-19は線維化を抑制する作用を持つ可能性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コロナ禍のため、4月から二ヶ月半、研究活動の中断を余儀なくされた。 その後も、大学内での感染者発見に伴い、突発的な実験中断が2度もあった。 そのため、当初開始予定であった実験の開始が大幅に遅れたため、当該の自己点検評価とした次第である。
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今後の研究の推進方策 |
2018年度、2019年度、2020年度といずれもマウス個体を用いたin vivoの解析を実施し、IL-19遺伝子の欠損に伴う表現系の差異を発見することができた。次年度は、in vitroの実験系を用いて、メカニズムの探索を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍のため、4月から二ヶ月半、研究活動の中断を余儀なくされた。 その後も、大学内での感染者発見に伴い、突発的な実験中断が2度もあった。 そのため、当初開始予定であった実験の開始が大幅に遅れたため、次年度も当該研究を継続実施することとした次第である。
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