研究課題/領域番号 |
18K05998
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
安藤 匡子 鹿児島大学, 農水産獣医学域獣医学系, 准教授 (10466914)
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研究分担者 |
安藤 秀二 国立感染症研究所, ウイルス第一部, 室長 (30360803)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 急性Q熱 / 肺炎 / 肝炎 / マウスモデル |
研究実績の概要 |
Q熱は、Coxiella burnetiiによる世界中に存在する重要な人獣共通感染症である。動物は通常不顕性だが、人は極めて多彩な症状を呈する。特に急性Q熱の主訴は様々であり国内外で明確に異なり、海外では肺炎あるいは肝炎、国内では不定愁訴といった病態の多様性を、マウスモデルを用いて解析する。初めに、免疫正常マウスにおいて感染経路による病態発生を比較解析する。経気道接種による肺の感染病変、経口接種による肝臓の感染病変を比較する。この結果からC. burnetiiに最初に暴露される臓器の感受性(臓器特異的マクロファージの殺菌能の相異)を明らかにする。また、国内外の病態解析のほとんどは、標準株のみを用いている。C. burnetiiは少なくとも7つのgenotyoeに分類することができ、これが急性Q熱や慢性Q熱といった病態の多様性に影響していると考えられているが、照明されていない。本研究では、標準株だけでなく他のgenotype株を用い、C. burnetii genotypeと発生病態の関連を明らかにする。 今年度は、マウスにおける感染評価に適した感染菌量を決定した。経気道および経口感染において、臓器における菌量および血清抗体価測定により感染成立を確認し、感染実験中に臨床症状が観察できる適切な菌量を判定した。また、C. burnetiiの各genotype比較実験に必要な株をin vitroにおいて大量培養し、研究期間中に必要な量を全て準備できた。保管されていらい長期間国内では培養されていなかった株もあり、これらの増殖を確認し大量培養に成功した。 次年度以降の研究を遂行するために必要な成果が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度の実験計画は、標準株のみ使用する予定であった。しかし、次年度以降に使用する標準株とは異なるgenotype全ての株について、感染実験に使用できる状態に準備することを優先した。このため、in vitroでの培養に時間がかかり、マウス感染実験の開始が遅れた。しかし、次年度以降のin vitro培養に要する必要がなくなったため、研究期間中に予定している実験の実施には影響しないと考える。 感染評価に適した接種菌量の決定実験に、当初の予定よりも多くのマウス感染実験が必要となり、時間を要した。使用する2施設において、より効率的に実施できるよう実験計画を見直す。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画どおり実験を実施する。マウスでの感染実験については、安全上の理由から実施回数が制限されるため、より効率良く実施できるよう調整する。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験計画がやや遅れているため、消耗品費および旅費の使用が計画よりも少なかった。 次年度では、初年度に実施できなかった実験をすすめるための消耗品、および分担研究者の研究機関で実施する実験のための移動旅費として使用する。
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