研究課題
基盤研究(C)
本研究ではCD44バリアントフォーム、CD44vが多くのイヌ腫瘍組織で発現され、イヌ乳癌細胞での機能解析では、CD44vが内在性抗酸化剤グルタチオン合成を促進し、放射線照射耐性を高めることを明らかにした。さらに、イヌのシスチントランスポーター(xCT)発現を乳癌組織と周辺正常組織で比較すると、腫瘍組織で有意に発現亢進し、イヌ乳癌細胞を使ったxCTの阻害剤の実験から、xCTが酸化ストレス耐性獲得に影響を及ぼすことを明にした。これらの結果は、CD44vとxCTがイヌ腫瘍における放射線治療抵抗性において重要な影響を及ぼすことが示唆された。
腫瘍学
本研究では実際のイヌの腫瘍症例において、CD44バリアントフォームが存在し、それと相互作用して酸化ストレス耐性を獲得するとされるxCT分子の腫瘍組織での発現を見いだしたのは、本研究が初めてある。その成果は国際学術雑誌であるVet. Med. Sci., 2021, 7: 577~585.にも掲載された。そして本知見は放射線治療の抵抗性に関するものと関連し、獣医癌治療の改善にも寄与することが考えられる。