研究課題/領域番号 |
18K06009
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研究機関 | 京都産業大学 |
研究代表者 |
西野 佳以 京都産業大学, 総合生命科学部, 准教授 (00271544)
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研究分担者 |
舟場 正幸 京都大学, 農学研究科, 准教授 (40238655)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ウイルス / ボルナウイルス / 神経疾患 / 副腎皮質ホルモン / TGF-β |
研究実績の概要 |
1.BoDV-1感染におけるTGF-βファミリーの役割:C57BL/6マウス由来初代培養神経細胞にBoDV-1を感染し、抽出したRNAを用いてマイクルアレイ法による発現遺伝子の網羅的な解析を行った。現在、変動のあった遺伝子群のグルーピングを行っている。初代培養グリア細胞における発現遺伝子の解析は現在検討中である。 2.BoDV-1感染における副腎皮質ホルモンの役割とTGF-βファミリーとの交互作用:BoDV-1感染C57BL/6マウス由来初代神経細胞に合成副腎皮質ホルモン(デキサメタゾン:Dex)を添加したところ、細胞の表現型は大きく変化しなかったが、ウイルス感染率が上昇した。この現象は、初代培養神経細胞の培養時にAra-Cを添加しグリア細胞等の増殖を抑えた培養条件においても認められた。ウイルス感染率の上昇は、グルココルチコイドレセプター(GR)への阻害薬により抑制されたことから、ウイルス感染率の上昇はDexによるGRを介した反応であることが示された。Dexの処置により、細胞質に局在するウイルスPタンパク質が増加した。この結果から、Dex処置された細胞ではBoDVあるいはvRNPがcell to cell伝播しやすい状況にあることが示唆された。 3.BoDV-1感染1のマウスにおけるTGF-βファミリーと副腎皮質ホルモンの交互作用:①BoDV-1急性感染期のマウスに副腎皮質ホルモン(CORT)を接種した。その結果、CORT接種により、肉眼的なボルナ病臨床症状は増悪化し、体重も減少し、脳内ウイルス量は増加した。しかし、脳炎の程度は、軽減した。②BoDV-1感染後期のマウスにCORTを接種した。その結果、CORT接種により、肉眼的なボルナ病臨床症状、体重、脳内ウイルス量の相違は認められなかった。しかし、脳炎の程度は、一旦軽減した後に重度化した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
感染細胞における発現遺伝子解析は現在解析中だが、ウイルス感染初代培養神経細胞における副腎皮質ホルモンの影響は極めて興味深い結果が得られたため。さらに、ウイルス感染動物における副腎皮質ホルモンの影響についても順調に解析結果が得られている。
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今後の研究の推進方策 |
①マウス由来初代培養神経細胞ならびに初代培養グリア細胞における発現遺伝子の解析を重点的に行う。 ②ウイルス感染動物における副腎皮質ホルモンの影響を、感染前、感染後(急性期と後期)の3点で解析を行い、比較検討を行う。
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