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2018 年度 実施状況報告書

マウスの巣作り行動の脳内神経基盤の解明

研究課題

研究課題/領域番号 18K06011
研究機関茨城大学

研究代表者

豊田 淳  茨城大学, 農学部, 准教授 (00292483)

研究分担者 岡山 毅  茨城大学, 農学部, 教授 (90575226)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード巣作り / マウス / 行動解析
研究実績の概要

巣作りは体温維持、睡眠、養育などに資すると考えられており、あらゆる動物に見られる行動である。マウスも巣作り行動を行うが、この巣作りが他のマウスからの攻撃によるストレス(心理社会的ストレス)で抑制されることを発見した。この巣作り行動の抑制はセロトニン受容体Aのアンタゴニストの腹腔内投与で一部レスキューされることを見出した。このことから、心理社会的ストレスによる巣作りの遅延は脳の失調によって起こると考え、またストレスによるモチベーションの低下の行動指標になると考えた。そこでマウスの巣作り行動の神経基盤を明らかにするために、①マウスの巣作り行動の過程を赤外線深度センサを用いた行動解析システムで非侵襲的かつ3次元的に解析する、②巣作り行動に関与する神経細胞を神経活動マーカーであるC-Fosタンパク質の発現を指標にして同定し、巣作り行動に関わる脳領域を特定する、③巣作り行動を制御する神経回路を薬理学および光遺伝学の手法を用いて明らかにする、という3つのテーマを掲げた。2018年度は主に①の行動解析システムを構築した。透明アクリル製のBoxの周りに赤外線深度カメラを4台配置して、Box内のマウスの巣作り行動を3次元的にモニタリングすることに成功した。また②では、マウスの海馬、腹側被蓋野、側坐核などを抗C-Fos抗体で免疫染色したが、巣作り行動で特異的に活性化する脳領域の同定には至っていない。そこで心理社会的ストレスにより影響を受け、かつ巣作り行動への関与が指摘されている側坐核に焦点を当てた。慢性的に心理社会的ストレスを暴露したマウスの側坐核におけるリン酸化タンパク質を網羅的に探索した。その結果、心理社会的ストレスにより特異的に活性化または不活性化するシグナル伝達経路が明らかになった。このシグナル伝達経路が巣作り行動に関与するかについて引き続き検討する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

2018年度は主に上記①を進めた。4台の赤外線深度センサを用いた行動解析システムを構築した。非侵襲的かつ3次元的にマウスの巣作り行動データを取得することは可能になったため、当初の予定通り進捗していると言える。一方、上記②については、巣作り行動に関与する脳領域の特定が難航している。方法等を再検討する予定である。上記③については2019年度から開始予定である。

今後の研究の推進方策

①については解析インフラはほぼ完成しているので、マウスの巣作り行動の3次元データを収集する。収集後、機械学習による巣作りの自動推定を試みる。②については計画していたマウス脳組織切片の免疫組織学的手法だけでは巣作りに関与する脳部位の同定が難しいと考えている。今後、生体組織の透明化技術などを用いて、マウスの脳のC-Fos発現を3次元的に解析できる方法を実施する予定である。③については光遺伝学的実験手法のインフラを整備する方向で検討する。また、心理社会的ストレスにより影響を受ける側坐核のシグナル伝達経路を同定したので、そのシグナル伝達経路が巣作り行動に関与するかを主に薬理学的手法で解明する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2018

すべて 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [学会発表] 赤外線深度センサを用いた動物の3次元行動解析2018

    • 著者名/発表者名
      豊田 淳、大給 日香里、新納 浩幸、小針 大助、岡山 毅
    • 学会等名
      第41回日本分子生物学会年会
    • 招待講演
  • [学会発表] A potential screening paradigm for antidepressants using the nest building evaluation after acute social defeat stress (ASDS)2018

    • 著者名/発表者名
      H. OTABI, T. OKAYAMA, D. KOHARI, A. TOYODA
    • 学会等名
      Neuroscience2018
    • 国際学会

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公開日: 2019-12-27  

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