研究課題/領域番号 |
18K06015
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
諸白 家奈子 信州大学, 学術研究院農学系, 助教 (90815250)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 卵胞発育 / 体外培養 |
研究実績の概要 |
次世代を生産する生殖現象では、その担い手である雌動物の生殖細胞である卵子が生体内で生産される機構を解明することは動物生産あるいはヒト生殖医療において現在、重要な課題となっている。本研究では、哺乳類の卵巣内における卵母細胞と卵母細胞の発育をサポートする卵胞の発育機構および選抜過程のメカニズムを解明し、どのような資質をもつ卵母細胞・卵胞が発育を開始するのか明らかにすることを目的とする。哺乳類の卵巣内では未発育な卵母細胞が袋状の構造をとる卵胞に1個ずつ囲まれて数万から数十万個存在し、卵母細胞は卵胞から発育に必要な因子を受け取りながら卵胞とともに発育することが知られている。そこで、卵巣内において卵胞構造の維持に必須と考えられている卵胞基底膜の構成成分である細胞外マトリックスに焦点を当て、細胞外マトリックスの合成・分解機構と発育因子の卵胞内部への流入過程、そして卵胞発育への詳細なメカニズムおよびこれらの関連性を卵巣の体外培養技術を用いて明らかにすることで卵母細胞および卵胞の発育・選抜機構の解明をめざす。平成30年度は、新生子マウス卵巣をもちい、卵胞形成時および初期の卵胞発育期において卵胞基底膜の構成成分である細胞外マトリックスがどのように分解・再合成が行われるかについて研究を進めた。卵巣を体外培養する過程で、細胞外マトリックスを分解を調整する試薬を培養培地に導入し、卵胞形成にどのような影響を与えるか解析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成30年度の研究では、細胞外マトリックスの分解を調整する試薬を導入した培地で新生子マウス卵巣を培養した結果、卵胞形成不全が観察され細胞外マトリックスの再合成が正常に起こっていないことが明らかになった。このことから、当初の実験計画に加え、細胞外マトリックス分解後に再合成を生じる体外培養システムに改良する実験が必要となったため。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度の研究から得られた結果をもとに、今後はマウス卵巣の体外培養システムの改良に重点を置き、細胞外マトリックスの分解・再合成過程を体外で再現するシステムの構築を行う。また構築された培養システムを利用し、細胞外マトリックスのマーカーを用いて蛍光顕微鏡下で経時的に観察を行い細胞外マトリックスの合成過程を明らかにする。
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