研究課題/領域番号 |
18K06023
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
関 信輔 秋田大学, バイオサイエンス教育・研究サポートセンター, 助教 (60749167)
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研究分担者 |
西島 和俊 秋田大学, バイオサイエンス教育・研究サポートセンター, 准教授 (70435874)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 幹細胞移植 / インユーテロ法 |
研究実績の概要 |
移植可能な臓器を患者自身の細胞から作ることは再生医療の重要な目標の1つである。研究代表者が参加している研究チームでは、臓器欠損動物の胚盤胞期胚に正常多能性幹細胞をインジェクションし臓器を作出する方法「胚盤胞補完法」で、キメラ動物体内に膵臓・腎臓などを生産することに成功している。しかしながら、この方法をヒトへ応用するにあたって課題が二つある。一つは、キメラ形成能のあるヒトiPS細胞が樹立できていない。また、ヒト細胞が動物の神経や生殖腺に寄与してしまうことを懸念する倫理的問題のため、倫理問題をクリアにしながらの実験が求められ、ヒトの臓器作出にすぐに応用できないのが現状である。そこで、本研究では、血液あるいは臓器欠損マウス胎仔に分化運命の決定している前駆細胞を局所的に移植する方法で動物体内での臓器作出が可能かどうかを検証する。 ゲノム編集技術により、造血幹細胞の分化・増殖に関与している遺伝子のノックアウトを試み、産まれてきた胎仔のシークエンス解析を実施したところ、すべての胎仔の標的遺伝子はノックアウトされていた。そして、血液欠損マウス胎仔に異系統(GFP系統)由来の造血幹細胞をインユーテロ移植したところ、移植が成功していない場合は、胎仔は出生直後に発生停止したが、移植が成功していた胎仔は2ヶ月後でも生存していた。また、そのマウスの血液を調べたところ、GFP蛍光を示しており、異系統由来の血液を補完することに成功した。詳細な解析をすすめたところ、赤血球、血小板、単球、リンパB細胞、リンパT細胞はGFP蛍光を示し、赤血球だけでなく免疫細胞についても異系統間での補完に成功した。そして、免疫不全マウス(B細胞T細胞欠損)にラット造血幹細胞(赤色蛍光)を移植したところ、ラットT細胞がマウス体内で補完されていた。また、割合は少ないもののラット由来の赤血球、血小板も産生されていた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マウスラットの異種間での実験を開始しており、免疫不全マウス(B細胞T細胞欠損)を用いたところ、割合は少ないもののマウス体内にラット赤血球、血小板が産生できており、T細胞にいたってはラットのT細胞のみを産生させることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
ゲノム編集技術を用いた容易した血液および免疫系の欠損したマウス胎仔にラット造血幹細胞をインユーテロ移植することでマウス体内にラット血液・免疫系を産生することが可能かどうかを検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
短期留学をしていた期間があるため、研究の目処が立ったため、データ解析を実施するために使用する。
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