研究課題
本研究では、CRISPR-Cas法を用いて、カニクイザル胚のXIST遺伝子の改変を行い、得られた遺伝子改変胚をカニクイザルの子宮に移植し、in vivo着床前後胚をサンプリングし、解析する。本年度はカニクイザル胚を用いた実験を行う前に、細胞培養の実験系を用いて、XIST遺伝子にCRISPR-Casを用いて欠失を誘導し、XIST RNA 変異体のXCIへの影響を解析する事を計画した。XIST遺伝子はそのRNAがX連鎖遺伝子の発現抑制に重要である。特にA-Eの繰り返し配列が重要である事が先行研究により示されている。そこで、公開されているカニクイザルのゲノムDNA配列情報を元にXIST遺伝子の全体およびA-Eの繰り返し配列に対して、5‘と3’末端の2箇所に対してgRNA標的配列を選定し、CRISPR-Cas9 コンストラクトを作製した。gRNAの切断活性評価には、二分割されたEGFPを用いたSSA assayを利用した。この際、pX330ベクターにgRNA配列を組み込んだベクター、およびpCAG-EGxxFPベクターにカニクイザルのゲノムDNA配列を挿入したベクターを使用した。その結果、各々領域において切断活性が検出された。現在、切断活性が得られたコンストラクトを利用して、受精後35日目の雌カニクイザル胚から採取した線維芽細胞に対してゲノム遺伝子改変を行い、変異細胞クローンを得た。得られた変異細胞クローンはXCIへの影響をRNA FISHとRNA-seq を用いて解析する予定である。また、繊維芽細胞で使用したコンストラクトを利用してXIST遺伝子改変カニクイザル胚の作製を行う。
4: 遅れている
申請者が依頼したXSIT遺伝子改変サル胚はこの6月に作製が開始される予定で有る。
実験に使用するカニクイザルは主に中国、東南アジア等の野生由来であるため、実験用マウスとは異なり、ゲノムDNA配列に一定の頻度で多型が存在する。そのため、現在、申請者の実験に使用する可能性の有る産地の個体において、選定したgRNA の配列における多型の有無を解析している。多型が含まれていない産地を選別出来次第、その産地由来の個体を用いてXIST遺伝子改変カニクイザル胚の作製を開始する予定である。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
Sci Rep
巻: 10(1) ページ: 6827
10.1038/s41598-020-63602-7.
Biol Reprod
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