研究課題
基盤研究(C)
多様なSIV株を広範に中和する抗体B404に類似した抗体(B404類似抗体)誘導の解析を6頭のSIV感染アカゲザルを用いて行った。B404類似抗体の誘導は抗体重鎖遺伝子のVH3.33の多型と関連しており、VH3.33遺伝子の38番目がE, 65番目がTのallele を持ったサルだけがB404類似抗体を誘導した。SIVへの結合・中和活性には38Eが重要であった。これらの結果は、中和抗体の誘導が抗体遺伝子の多型によって決定されていることを強く示唆している。
ウイルス学
近年、多様なHIV-1株を広範に中和するbnAbの誘導が効果的なワクチンの開発に重要であると考えられるようになった。また、特定のbnAbを誘導するための抗原の開発も進んでいる。しかしながら、HIV-1感染によるbnAbの誘導は稀であり、そのメカニズムも不明である。本研究では、SIV感染サル・モデルを用いて中和抗体誘導の解析を行い、中和抗体の誘導と抗体遺伝子の多型が密接に関連していることを示した。この結果は、今後のワクチン開発に遺伝子多型を考慮する必要があることをあきらかにした。