研究課題
屠場において牛白血病(BLV)と判断された40検体を用いて、野外リンパ腫におけるDOK1、2および3遺伝子の発現量を健康牛と比較した。BLVプロウイスの検出では、40検体中39検体で陽性、1検体は陰性であった。BLV由来腫瘍細胞はほとんどがB細胞であるため、健康牛の血液細胞は、MACS法を用いてT細胞分画およびB細胞分画に分け、各分画よりRNAを調整し、TおよびB細胞のDOK遺伝子を定量し基準とした。また、BLV由来のB細胞腫瘍株であるKU-1を用い、陽性コントロールとした。DOK1遺伝子の発現量は、健康牛の末梢血単核球(PBMC)、T細胞、B細胞、陽性コントロールKU-1および野外リンパ腫の比較においては各細胞において有意差は認められなかった。DOK2遺伝子は、正常マウスおよびヒトのT細胞では高発現していることが確認されている。ウシにおいても同様であることが我々の実験で確認されている。DOK2遺伝子は、ウシ正常Tリンパ球で高発現しており、ウシBリンパ球およびKU-1では低発現であった。また、野外リンパ腫でも低い傾向であり、これら細胞がB細胞由来であるためと考えられた。野外リンパ腫の中の1例が高発現であったが、40検体中唯一BLVプロウイルスが陰性であり、BLVとの関連ではないものと判断した。DOK3遺伝子の発現では、正常マウスおよびヒトB細胞に発現しているが、ウシにおいても同様であった。KU-1細胞ではさらに高発現しており、正常ウシB細胞の4倍であった。一方、野外リンパ腫においても高い傾向がみられ、正常ウシB細胞の2倍を示した。このことから、DOK3遺伝子の高発現が牛白血病となんらかの関連があるものと考えられた。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)
FEBS J
巻: in press ページ: in press
10.1111/febs.16353
Viruses
巻: 14 ページ: 344
10.3390/v14020344