研究課題/領域番号 |
18K06046
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研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
小久保 年章 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所, 上席研究員(定常) (10425663)
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研究分担者 |
石田 有香 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 生物研究推進室, 主幹研究員(定常) (40415435)
相澤 竜太郎 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 放射線医学総合研究所 生物研究推進室, 研究員(定常) (70814680)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 腸内細菌叢 / Apc Minマウス / 大腸がん / メタゲノム解析 / SPF動物 / コンベンショナル動物 |
研究実績の概要 |
本研究では、大腸がんモデル動物のApc Minマウスを用いてSPF又はコンベンショナル(CV)な飼育環境で発生する消化管腫瘍が、腸内細菌とどのような関係になっているか、また放射線照射により腸内菌叢がどのように影響するかについて明らかにし、大腸がん対策の基礎データとすることを目的としている。 SPF又はCV飼育環境下で、Apc Minマウスに2週齢時に放射線照射し、その後30週齢時の盲腸内容物を材料として細菌の16S rRNAのメタゲノム解析を実施したところ、放射線照射の有無に関係なくSPF飼育環境下のマウスは、CV飼育環境のマウスに比べてBacteroidetes門の比率が高く、Actinobacteria門とProteobacteria門の比率が低いことが分かった。 消化管腫瘍の発生や増殖に関与する細菌を糞便から見出す実験では、SPF又はCV環境下で飼育しているApc Minマウスから5週齢と18週齢の糞便を採取し、16S rRNAのメタゲノム解析を行った。その結果92種類の細菌が特定され、SPF、CV環境のいずれも高い割合を示した2菌種、SPF環境で高い割合を示した1菌種、さらにCV環境で高い割合を示した1菌種を選定して、無菌のApc Minマウスと無菌の野生型マウスに投与する候補細菌とした。これら4菌種は、メタゲノム解析から得られたもので糞便中より分離していないため、理研BRCから標準細菌を入手し、マウスへの投与検体の調製を行った。 令和2年度は無菌マウスの作出が出来なかったため、年度後半よりSPF飼育環境で作出したApc Minマウスに、2週齢時にX線照射し、上記4菌株を1菌種ずつ投与する群を設けて5-6週齢時、12週齢時、及び15-20週齢時に経口投与し、30週齢で消化管腫瘍が、菌株の違いによりどのように変化するかの実験を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症への対応のためビニールアイソレータの再立上げの作業停止が続き、無菌マウスの作出が出来ず、実験に着手できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染症への影響のため、当初予定していた無菌のApc Minマウスを作出し、その後にSPF、CV状態のApc Minマウス、ノトバイオートApc Minマウスにした上で、2週齢時にX線を照射し、ビニールアイソレータ内で飼育を行い、定期的に糞便を採取して細菌叢の解析をすることは、研究期間内での完了が難しい状況となった。このため、ビニールアイソレータを用いた実験は可能な限り進めることとし、SPF飼育環境下で作出したApc Minマウスを用いて、SPF環境又はCV環境のApc Minマウスの糞便に高い割合で存在する細菌の影響をみる実験に着手した。具体的にはSPF飼育環境下で作出したApc Minマウスを2週齢時にX線照射し、特定の4菌株を1菌種ずつ投与する群を設けて5-6週齢時、12週齢時、及び15-20週齢時に経口投与し、30週齢で消化管腫瘍が、菌株の違いによりどのように変化するかの実験である。年度後半にこれらのマウスは30週齢に達する計画であり、年度内に評価を完了する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
消耗品等の購入に使用する計画である。
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