研究課題/領域番号 |
18K06064
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
津中 康央 横浜市立大学, 生命医科学研究科, 特任助教 (40551552)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ヌクレオソーム / クロマチンリモデリング / FACT / 構造生物学 |
研究実績の概要 |
今年度は、昨年度に同定されたFACT機能ドメインとヒストンH2A-H2B二量体、H3-H4四量体、ヌクレオソームとの相互作用を解析した。さらに、完全なヌクレオソームだけでなく、反応中間体であるDNAが一部はがれたヌクレオソームを調整し、これらとFACTの相互作用を解析した。安定で、均一な複合体を形成したものについては、X線結晶構造解析、電子顕微鏡観察を行った。その結果、FACTのリン酸化された酸性の天然変性領域 (pAID) とDNAが一部はがれたヌクレオソームの複合体の立体構造を電子顕微鏡単粒子解析により高分解能で決定した。この構造でFACTのpAIDがヌクレオソームのDNAが部分的にはがれたヒストン表面に結合しており、FACTがヌクレオソームからのヒストン除去を防ぎ、エピジェネティックな細胞記憶を維持していることが示唆された。これらの研究成果は科学雑誌に掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
ヌクレオソームとFACTの複合体の立体構造を決定し、当初の計画以上に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
来年度はさらに、ヌクレオソームとFACTの安定な複合体のいくつかについて、X線結晶構造解析、電子顕微鏡観察を行う予定。今年度明らかとなった一つの立体構造は一連の反応のある場面を捉えたスナップショットに相当するので、別の機能ドメインによって誘起された別の立体構造と詳しく比較することにより、はじめて時系列に沿ったヌクレオソームの構造変化を明らかにすることが可能である。これら二つ以上の立体構造を絡めて、時系列に沿った分子機構を立体構造の観点から整理し、FACTによるヌクレオソーム再構築の分子機構の全容を明らかにしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
成果報告、情報収集、研究打ち合わせのための出張旅費申請が来年度に持ち越しとなったため。
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