研究課題/領域番号 |
18K06065
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
上 大介 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (80415588)
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研究分担者 |
秋光 信佳 東京大学, アイソトープ総合センター, 教授 (40294962)
五條 理志 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90316745)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | RNA metabolism / Cellular transition / FAPS / RNA-seq / LC-MS/MS |
研究実績の概要 |
本研究は細胞が分化転換した際に細胞内で起きるRNA代謝がどのように代謝されているのかを解析することを目的としている。そこで分化転換のモデル細胞とし て、TGFB2を加えることで容易に上皮間葉転換がおきるA549細胞を用いた。またRNA代謝は実際にRNA代謝が行われているProcessing body(PB)と呼ばれるRNAと タンパク質の複合体に含まれるRNAを解析することで評価する。このPBにはDDX6と呼ばれるタンパク質が分化転換時にFociを形成することが知られている。そこ で我々はDDX6タンパク質と蛍光タンパク質を融合したレトロウィルスベクターを作製し、A549細胞に導入し、PBソーティング(Hubstenberger A. Mol Cell. 2017)の系を構築した。回収したPBのRNAはBioAnalyzerにてRNA純度を評価したところ、微量ながら も長鎖RNAが含まれていることが明らかとなった。このRNAを微量RNA-seq法を用いて解析したところ、ソート前とソート後(DDX6陽性分画)では異なるRNAが含まれている、さらに誘導前と誘導後では異なるRNAが含まれているという新たな知見を見出すことに成功した。各条件における発現量が平均値より高い遺伝子をベン図を用いて評価したところ、PB特異的な遺伝子は、誘導前は細胞分裂に関わる因子、誘導後はリボソーム関連遺伝子が特異的に含まれていた。またPBの誘導に特異的に含まれる遺伝子は接着や細胞外マトリクス関連が特異的に含まれており、これまでPBの機能では説明できない結果となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
RNA-seqの解析法に手間取ったが、標準的な評価法を検討し、意味のあるデータを取ることができた。今後はこれらの因子について再度評価し、PBの生物学的な意味について検討していきたい。 なおこれらの結果は2019年の分子生物学会にて発表、報告した。
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今後の研究の推進方策 |
RNA-seqのデータを再度確認し、CRISPR法による遺伝子ノックアウトによるPB形成について評価していく。また今回選択したRNAの分化転換時にどのような影響を与えるかを評価し、まとめていきたい。
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