動物細胞は分裂期に入ると、核膜の崩壊とクロマチンの染色体への凝縮が起こり、分裂期の最後には核膜が染色体の周囲で再構築される。転写が起こらないヘテロクロマチンの核膜付近への配置には、核膜直下に存在する網目構造の核ラミナが関与していることが示唆されていたが、これを規定する分子機構は明らかではなかった。本研究では、核ラミナ構成因子lamin Aとヘテロクロマチン結合因子HP1βの相互作用が分裂期終期の染色体上で起こり、G1期初期に相互作用の場が核内部から核辺縁部へと移動することを見出した。以上の結果から、ヘテロクロマチンの核辺縁部へ配置には核ラミナの形成過程が関与していることを示唆する。
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