研究課題/領域番号 |
18K06073
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
黒木 喜美子 北海道大学, 薬学研究院, 准教授 (90553313)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | HLA-G2 / LILRB2 / 抗体 / 免疫チェックポイント / 構造解析 / 相互作用解析 |
研究実績の概要 |
本申請の目的は、多様な分子形態で存在する生体内免疫抑制蛋白質HLA-Gのうち、ドメインをひとつ欠損するにも関わらず、受容体LILRB2と結合し、通常型HLAG1を補う活性を発揮するHLA-G2アイソフォームを中心とした多様なLILRB2リガンド群との分子認識機構について、詳細な相互作用解析、複合体の立体構造解析を進め、構造的観点から明らかにすることである。その得られた知見をもとに、特にHLA-G2-LILRB2相互作用を標的とした創薬スクリーニングを実施する。 今年度は、昨年度に引き続き、HLA-G2とLILRB2の相互作用部位についての情報を集めるために、分子表面に点在する特定のアミノ酸残基を修飾することにより結合面を決定する系を確立した。点在するアミノ酸残基に変異を導入することにより、修飾の異なるHLA-G2、LILRB2それぞれの組換え蛋白質が調製できた。それらを用いて野生型の結合相手となる分子との結合実験をすることにより、LILRB2とHLA-G2お互いの結合面決定に向けた解析を開始した。安定した結果を得るために修飾法のさらなる最適化が重要となることが示唆されたが、初期データを得ることができており、複合体結晶化などの構造解析による結合部位が困難である、 他のLILRB2リガンドの相互作用面決定に応用できる手法となると期待している。 さらに、HLA-G2とLILRB2の相互作用を標的とした創薬に向けたスクリーニング、in vivoでのHLA-G2機能評価を実施し、多面的に研究を進めることができている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに、主にHLA-G2とLILRB2相互作用部位を同定することを目的とした研究を進めている。LILRB2は既に結晶構造の解かれているHLAクラスI以外にも多様なHLA分子を含めた幅広いリガンド群と相互作用することが報告されているが、その分子認識機構については不明な点が多い。そのために、構造解析に頼らない結合部位同定法の確立に向けて、まず、HLA-Gとの相互作用部位同定を進めている。その結果、昨年度開始した分子修飾と相互作用解析による結合部位同定法の確立に成功し、条件の最適化が必要なものの初期データを得られている。最終年度にこの手法を用いて詳細な結合部位スクリーニングを実施できると考えている。また、創薬スクリーニングや蛋白質製剤としてのin vivo機能評価など多岐にわたるHLA-G2-LILRB2相互作用研究を実施できている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、今年度確立した相互作用面同定法を用いて、おおまかな相互作用部位を決定する。HLA-G2とLILRB2の相互作用は面と面の疎水性相互作用の寄与が大きいと予想されており、点変異体解析では困難な結合部位同定を目指す。さらに、HLA-G2-LILRB2相互作用を標的とした創薬スクリーニングも継続する。
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