研究課題
本申請の目的は、多様な分子形態で存在する生体内免疫抑制蛋白質HLA-Gのうち、ドメインをひとつ欠損するにも関わらず、受容体LILRB2と結合し、通常型HLA-G1を補う活性を発揮するHLA-G2アイソフォームを中心とした多様なLILRB2リガンド群との分子認識機構について構造的観点から理解することである。その得られた知見をもとに、特にHLA-G2-LILRB2相互作用を標的とした創薬スクリーニングを開始する。今年度は、昨年度までに作製したLILRB2分子表面に点在する特定のアミノ酸残基を修飾することにより、LILRB2とリガンド群の結合面を決定する系により、比較的広い面と面で作用することが示唆されたため、多くのLILRB2変異体蛋白質を作製、組換え蛋白質として調製し、相互作用解析を実施した。また、構造解析においては、HLA-G2とLILRB2の複合体結晶化に加え、ネガティブ染色法による電子顕微鏡解析にて構造的ゆらぎの大きいと示唆されたHLA-G2蛋白質の結晶化促進を期待して、相互作用する抗体等を加えた複合体結晶化を試みた。これまでに、解析可能な分解能のデータ収集には至っていないが、多面的解析により、HLA-G2とLILRB2、さらにHLA-G2以外のLILRB2リガンドとの関係性の理解が進んできている。さらに、HLA-G2とLILRB2の相互作用を標的としたバイオ医薬品スクリーニング、低分子~中分子スクリーニング、in vivoでのHLA-G2機能評価を引き続き継続し、多面的に創薬につながる研究を進めることができている。
すべて 2021 2020
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)
Protein Expression and Purification
巻: 172 ページ: 105631~105631
10.1016/j.pep.2020.105631