研究実績の概要 |
本研究では、GCN5のE3活性および糖新生亢進との関係の解明を目的としている。初年度である平成30年度は、6つの研究計画のうち、①E2酵素の選別、③ Znフィンガー構造の活性における役割の解明、の2つの実験を行った。 それぞれの結果の概要を記す。 <①E2酵素の選別> 実験計画通り、市販のE2酵素10種類を用い、GCN5の自己ユビキチン化に用いられるE2酵素を選別した。結果、UbcH3, UbcH5a, UbcH5b, UbcH5cにおいて明確なポリユビキチン化反応を確認した。UbcH5a, 5b、5cはアミノ酸配列相同性が高く、同様のポリユビキチン化反応パターンを示したため、同様の機構で働くと判断し、次からの実験からは、UbcH5bを用いることにした。次に、UbcH3遺伝子を理化学研究所より購入し、UbcH5bと同様に大腸菌発現系を用いて高純度精製標品を調製した。独自に調製した高純度の2種類のE2酵素を用いて、ポリユビキチン化反応を評価した。結果、UbcH5bがより効率高くGCN5の自己ユビキチン化反応を進めることを見出した。 <③ Znフィンガー構造の活性における役割の解明> 結晶構造からGCN5は特徴的な2核配位のZnフィンガーモチーフを持つことを明らかにしていた。Znに配位する7つの配位残基の前半と後半をアラニンに置換した2種類のアラニン変異体を作成した。同時に、立体構造から同定したZnドメインを欠損させた欠損変異体も作成した。これらをそれぞれ大腸菌で発現させ、自己ユビキチン化活性を測定した。結果、Zn配位はGCN5の安定化に寄与すること、Znドメインを欠損させることによりユビキチン化反応がほぼ消失することを見出した。 以上の結果と先行研究で行った結晶構造解析の結果を合わせて、論文を執筆した。現在、投稿準備中である。
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