研究課題/領域番号 |
18K06080
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
伊東 孝祐 新潟大学, 自然科学系, 助教 (20502397)
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研究分担者 |
西川 周一 新潟大学, 自然科学系, 教授 (10252222)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 翻訳 / ペプチジルtRNA / ユビキチン化タンパク質運搬因子 / 分子遺伝学的解析 / X線結晶構造解析 |
研究実績の概要 |
生体内では様々な要因で翻訳は異常停止し、合成途中の未成熟ペプチドがtRNAに結合したままのぺプチジルtRNAが停滞リボソーム内に産生される。このような状態は細胞にとって有害であり、翻訳の品質管理機構によって解消されなければならない。現在までの研究により、ペプチド部位が短鎖の場合、ぺプチジルtRNAはリボソームから細胞質に放出され、そしてぺプチジルtRNA加水分解酵素 (Pth) によりペプチドとtRNAに分解されて翻訳停滞が解消されることがわかっている。一方、ペプチド部位が長鎖の場合、ぺプチジルtRNAは停滞リボソーム上でペプチドとtRNAに分解されることが知られているが、この反応を担う因子は真核生物では未だ不明である。一方、我々は最近、Pthがユビキチン化タンパク質運搬因子と直接相互作用することを見い出している。本研究の目的は以下の通りである。 1) 長鎖ぺプチジルtRNAを停滞リボソーム上で分解する因子を分子遺伝学的手法で探索する。 2) Pth-ユビキチン化タンパク質運搬因子の相互作用様式をX線結晶構造解析で明らかにする。 3) Pthとユビキチン化タンパク質運搬因子が共同でリボソーム上の長鎖ぺプチジルtRNAの分解に働いている可能性を追究する。 研究成果であるが、1)については、長鎖ぺプチジルtRNAを発現するモデル酵母株を作製し終えた。2)については、ほぼ構造解析が終了した。3)については、2)の構造解析の結果をもとに行う実験であり、2)がほぼ終了しているので来年度予定通り実行できる状態である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の課題は大まかに以下の3つであり、それぞれについての進捗状況を以下に記す。 課題1)である「長鎖ぺプチジルtRNAを停滞リボソーム上で分解する因子を分子遺伝学的手法で探索する。」については、長鎖ぺプチジルtRNAを発現するモデル酵母株を作製し終えた。 課題2)である「Pth-ユビキチン化タンパク質運搬因子の相互作用様式をX線結晶構造解析で明らかにする。」に関しては、ほぼ構造解析が終了した。 課題3)である「Pthとユビキチン化タンパク質運搬因子が共同でリボソーム上での長鎖ぺプチジルtRNAの分解に働いている可能性を追究する」については、課題3)の結果を受けて来年度行う予定の実験であり、課題2がほぼ終了しているので来年度予定通り実行できる状態にある。よって「おおむね順調に進展している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
課題1)の「長鎖ぺプチジルtRNAを停滞リボソーム上で分解する因子を分子遺伝学的手法で探索する。」については、長鎖ぺプチジルtRNAを発現するモデル酵母株にランダム変異を導入し、長鎖ペプチジルtRNAが蓄積する株を選別する作業を行う。そして、その株の遺伝子を分析することで停滞リボソーム上のペプチジルtRNAを分解する因子を特定する。 課題2)の「Pth-ユビキチン化タンパク質運搬因子の相互作用様式をX線結晶構造解析で明らかにする。」に関しては、精密化計算を行い最終構造を決定する。 課題3)の「Pthとユビキチン化タンパク質運搬因子が共同でリボソーム上での長鎖ぺプチジルtRNAの分解に働いている可能性を追究する」については、課題3)の結果を受けて来年度まず、Pth活性を失わずユビキチン化タンパク質運搬因子と相互作用しないPthの変異をin vitro実験で探索する。その結果をもとに、その変異を導入したPth変異体を発現する酵母株を作製する。そして、長鎖ぺプチジルtRNAを停滞リボソーム上で分解することにPthおよびユビキチン化タンパク質運搬因子が関与するかを調べる。
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次年度使用額が生じた理由 |
予想よりも実験がスムースに進行したため、試薬代や放射光施設への出張旅費が計画より少なかったことによる。その分を、来年度からの遺伝学的機能解析の実験費用に充てる。
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