研究課題/領域番号 |
18K06082
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
竹安 邦夫 京都大学, 生命科学研究科, 研究員 (40135695)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 長い一本鎖RNAの高次構造解析 / HCVゲノムRNAの高次構造 / 原子間力現鼻鏡法(AFM) / RNAゲノムフォールディング |
研究実績の概要 |
数Kbにおよぶ長い一本鎖RNAの構造解析は容易ではない。最近明らかになった「28sリボソームRNAの二次構造」の解明には20余年を要した。より長い、ウィルスゲノムのような一本鎖RNAの全長の二次構造を一気に解析することは、現在でもス可能である。本研究者は、これまでに、原子間力顕微鏡法(Atomic Force Microscopy: AFM)を用いて、28s rRNA(~4Kb)の二次構造を〝まるごと“一気に解析する技術を開発した。 本研究では、AFMを活用し、二次構造未知のHCVウィルスゲノムRNA(~9 Kb)の〝まるごと”から見た構造解析に挑戦し、ゲノムRNAのフォールディングのメカニズムを明らかにする。 昨年度(初年度)は、T7プロモーター下に組み込んだcDNAを転写して得られたゲノムRNA(全長、5'近傍、3‘近傍、コーディング領域の欠損RNA)のAFM画像をMATLAB-base のプログラムを用いて解析した。5'近傍および3‘近傍の構造は文献的に明らかになっている部分構造と一致した。これらの部分領域構造は、全長構造を決定する際の方向性の指標となった。以上の結果を、連携研究者(国立衛生研究所所長 脇田隆字 博士)グループと共著で、米国生物物理学会(2019年2月5日、Baltimore、USA)において発表した。 本年度(次年度)は、これまでにHCVゲノム全長のAFM画像から、Main Chain(主鎖)の抽出、Main Chain上に検出された各Domain の塩基数の推定を行い、論文執筆に向けて二次構造を決定中である。また、研究協力者(Univ. Cambridge、Henderson 博士)との共同で、DNA-Origami上に一本鎖RNAの5'-あるいは3‘-末端を結合させ、液中高速AFMを用いて各Domain間の相互作用を解析する手法の開発に着手した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
通常のAFM(大気中)を用いて、各種ゲノムRNAとCapsidタンパク質との相互作用の画像を取得したが、静止画像であること。全体構造が大きく複雑すぎること、等のことから、解析が困難であった。 そこで、「ゲノムRNAの液中での動態を理解した上で、タンパク質との相互作用を調べたほうが合理的であろう」とのことから、まず、液中高速AFMを用いることにした。
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今後の研究の推進方策 |
来年度(最終年度)中には、HCVゲノムの二次構造を確定し、論文発表にこぎつけたい。また、長い一本鎖RNAの液中での動態を液中高速AFMで明らかにしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度三月に予定していた海外出張が、新型コロナウィルスのため、来年度に延期された。
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