研究課題
植物の開花ホルモン・フロリゲンは花が咲く時期を決定しているホルモンであり、存在は80年前より知られていたが、分子の実体(蛋白質)は2007年になって初めて同定された。これまで我々はフロリゲンの 新規細胞内受容体を発見し、花成の分子機構を明らかにしてきた(Taoka, Ohki, Tsuji et.al, Nature 2011)。最近、この受容体は花成期だけでなく栄養成長期においても中心的な役割を担っていることが判明し、従来の開花制御機構の概念を新たに組み直す必要が出てきている。そこで本研究では生化学と構造生物学の手法を駆使し、この新規受容体を含む2種類のフロリゲン複合体(花成期の活性化複合体と成長期の抑制複合体)、及び関連した転写複合体の解析を行い、開花の促進・抑制の分子制御機構の全貌を解明する事を目的としている。今年度は研究項目1の「フロリゲンと花成リプレッサーによる花成制御の分子機構の解明」を主に進めた。昨年度に得られていた花成リプレッサー・フロリゲン受容体・転写因子の複合体結晶とは異なる結晶系を用いた解析を進め、新たな複合体構造が得られた。この結晶系においては、既に得られているフロリゲン-受容体、及びリプレッサー-受容体の複合体構造とは異なる分子間相互作用が見られたため検証を進めている。また、溶液状態での複合体間の相互作用解析も進めるため、巨大分子量タンパク質の解析が可能なダイヤモンドNV中心を用いたNV-NMR法を新たに立ち上げ、相互作用解析を進めている。
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Magnetic Resonance
巻: 2 ページ: 33~48
10.5194/mr-2-33-2021