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2020 年度 実績報告書

スプライシングタンパク質U2AF1によるイントロン認識機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 18K06086
研究機関島根大学

研究代表者

尾林 栄治  島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 准教授 (50321740)

研究分担者 浦野 健  島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 教授 (70293701)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワードRNAスプライシング / 立体構造解析
研究実績の概要

私たち人間を形作るために必要な遺伝情報はDNAとして細胞内に保存されており、このうち必要な部分だけが必要なときにRNAとして写しとられる。しかし、この「必要な部分」にも所々にタンパク質情報をコードしない部位(イントロン)があるため、それらはスプライシングと呼ばれる反応によりRNAから取り除いかれる。このスプライシングの機能不全は、遺伝情報を細胞にとって有害なものに変化させてしまう危険性を持ち合わせており、実際に近年、がんや血液学的悪性疾患の多くの患者が、イントロン認識に関わるタンパク質にアミノ酸変異を持っていることが報告されている。そのため、患者の持つアミノ酸変異がどのようにスプライシング異常を引き起こし病気につながるのか、その関連性が注目されてきた。
U2AF1は、イントロンとタンパク質をコードしている部位(エキソン)の境界(3´スプライス部位)を特異的に認識するタンパク質である。がんや血液学的悪性疾患の患者の中にもこのU2AF1にS34F/Yという特異的なアミノ酸変異を持つひとが多くいることから、U2AF1による3´スプライス部位の正確な認識がヒトの正常な生命活動に重要なことが知られているが、認識がどのようになされているのかは不明であった。本研究では、U2AF1タンパク質とRNA複合体の結晶構造解析を行い、U2AF1による3´スプライス部位認識機構を明らかにした。また、変異体S34Yの構造解析にも成功し、アミノ酸変異体による異常な3´スプライス部位認識機構を解明した。本研究成果は、生命活動の基盤となる反応機構を理解する上で非常に重要なものであり、またがんや血液学的悪性疾患患者に多く見られるU2AF1のアミノ酸変異がどのようにスプライシング異常を引き起こすのか、その分子機構が明らかになり、病気の早期診断や新たな治療法開発に向けた研究への応用が期待されるものである。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件)

  • [雑誌論文] Elucidation of the aberrant 3′ splice site selection by cancer-associated mutations on the U2AF12020

    • 著者名/発表者名
      Yoshida Hisashi、Park Sam-Yong、Sakashita Gyosuke、Nariai Yuko、Kuwasako Kanako、Muto Yutaka、Urano Takeshi、Obayashi Eiji
    • 雑誌名

      Nature Communications

      巻: 11 ページ: 4744-4752

    • DOI

      10.1038/s41467-020-18559-6

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Nucleus Accumbens-Associated Protein 1 Binds DNA Directly through the BEN Domain in a Sequence-Specific Manner2020

    • 著者名/発表者名
      Nakayama Naomi、Sakashita Gyosuke、Nagata Takashi、Kobayashi Naohiro、Yoshida Hisashi、Park Sam-Yong、Nariai Yuko、Kato Hiroaki、Obayashi Eiji、Nakayama Kentaro、Kyo Satoru、Urano Takeshi
    • 雑誌名

      Biomedicines

      巻: 8 ページ: 608~608

    • DOI

      10.3390/biomedicines8120608

    • 査読あり / オープンアクセス

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公開日: 2021-12-27  

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