研究課題/領域番号 |
18K06095
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研究機関 | 甲子園大学 |
研究代表者 |
末武 勲 甲子園大学, 栄養学部, 教授 (80304054)
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研究分担者 |
茶谷 絵理 神戸大学, 理学研究科, 准教授 (00432493)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | DNAメチル化 / ヒストン修飾 |
研究実績の概要 |
様々な環境への対応や老化などの過程で、DNAやタンパク質の修飾が変化し、それが複雑な生理機能を制御している。タンパク質の中でも、特に核タンパクであるヒストンの修飾は、遺伝子発現などに関与し、修飾の種類より遺伝子発現の促進・抑制の両方に関与する。一方、DNAも修飾され、最も有名な修飾はシトシンのメチル化である。このDNAメチル化は、一般に遺伝子発現の抑制に関与し、細胞分化の過程でいったん形成されたメチル化パターンは細胞分裂を超え、安定に維持される。この維持には、維持型のDNAメチル化酵素(Dnmt1)が関与する。
これまでのDnmt1の酵素反応の解析から、酵素自身ではすでに形成されたメチル化模様を95%ほどの効率でしか維持できないことがわかっている。言い換えると5%ほどの取りこぼしがでる。この性質だけなら、細胞分裂が数回繰り返されると、DNAメチル化は有意に低下すると予想される。そのため、私たちの細胞には、メチル化活性を促進させる何らかの機構があると考えて調べた結果、ユビキチン化ヒストンがその促進に関与することを見出した。酵素学的解析から、ユビキチン化ヒストンは、Dnmt1活性の活性化エネルギーを下げることも報告している。
本年度は、その促進機構のメカニズムについてさらに詳細に調べた。ユビキチン化ヒストンは、メチル化反応の反応中間体形成を促進することは無いものの、Dnmt1はDNA分子上を滑ってメチル化する効率上げることを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ほぼ当初の計画通り、研究は進行している。研究内容は、投稿する段階に入っている。
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今後の研究の推進方策 |
現在、ユビキチン化ヒストンのDnmt1活性促進の分子機構について調べている。Dnmt1の活性促進は、ユビキチン化ヒストン以外にも、Dnmt1結合因子のUhrf1分子内のSRAが関与するこをすでに報告している。ユビキチン化ヒストン、SRAの両方とも、Dnmt1分子内RFTSドメインを介することが分かっている。そこで、今後、ユビキチン化ヒストンとSRAによる促進が同じ経路を通るのか、また異なる経路を通っているかを調べ、Dnmt1活性促進機構について詳細に明らかにする予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
私の移動に伴い、未使用分の萌芽を優先的に使用したため、基盤Cの使用額が停滞した。
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