研究実績の概要 |
繊毛内輸送を司るIFT(intraflagellar transport)装置は、6サブユニットのIFT-A複合体(760 kDa)と16サブユニットのIFT-B複合体(1,000 kDa)、8サブユニットのBBSome(490 kDa)から構成される。IFT-B複合体はキネシン2と結合することで繊毛内の軸糸微小管に沿った順行輸送を担う。IFT-B複合体は10サブユニットのコア複合体と6サブユニットのペリフェラル複合体から成り立っている。IFT-Bコア複合体は530kDaのタンパク質複合体であるが、それぞれ5サブユニットから成るコア1とコア2に大きく分割される。IFT-B複合体コア1はIFT22、IFT25、IFT27、IFT74、IFT81の5サブユニットから構成される。SUMOタグを利用した多サブユニット共発現系を用いてIFT74-81複合体、IFT22-74-81複合体について発現量の高いコンストラクトを得ることに成功し、大腸菌で共発現、精製し結晶化スクリーニングを行った。しかし、精製した複合体は数日間で分解が進行し、結晶が得られることはなかった。そこでクライオ電子顕微鏡観察を用いて、複合体を精製直後に凍結し測定したところ、分解前と考えられる棒状の粒子を確認することが出来た。
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