研究実績の概要 |
マウスRif1(2,418アミノ酸)がオリゴマーを形成して複数のグアニン四重鎖DNA(G4 DNA)に結合し、そのN末端領域(NTD, 1,151アミノ酸)とC 末端領域(CTD, 299アミノ酸)も各々単独でオリゴマーとしてG4 DNAに結合することは既に報告した。当初、G4 DNAと全長Rif1オリゴマーとの複合体の微細形態をクライオ電子顕微鏡による単粒子解析で決定することを目指していた。しかし、全長Rif1の大量精製は非常に困難であったため、NTDとCTDの間にある長い天然変性領域(LID, 968アミノ酸)を欠失したRif1-NC(NTD+CTDの意)を単粒子解析することにした。トランスフェクションした293T細胞の高塩濃度抽出液から精製したRif1-NCを電顕解析担当のHuilin Li 教授に送付したところ、ネガティブ染色による電顕観察を実施された。その結果、このRif1-NC標品には不定形凝集体が多いため、凝集していないRif1-NCを大量精製して欲しいと要望された。Rif1-NTDや-CTDとは異なり、Rif1-NCは低塩濃度では細胞から抽出され難いため、これまでは高塩濃度抽出液から精製してきたが、低塩濃度抽出液から精製すれば凝集しないのではないかと期待し、低塩濃度抽出液と高塩濃度抽出液の双方からRif1-NCを大量精製した。その精製には半年を費やすこととなってしまったが、Li 教授にこの2種類のRif1-NCを送付して電顕観察を実施して頂いた。ネガティブ染色観察の結果、どちらのRif1-NCもオリゴマーのようには見えるが、正確に何量体なのかは未だ断定できず、分子形態の確定にも至らなかった。2020年1月より、クライオ電顕によるRif1-NCの単粒子解析に取り組み始めたところである。
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