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2018 年度 実施状況報告書

CaMKKβ/AMPKシグナル伝達制御の解明と分子標的薬の創製

研究課題

研究課題/領域番号 18K06113
研究機関岡山大学

研究代表者

徳光 浩  岡山大学, ヘルスシステム統合科学研究科, 教授 (20237077)

研究分担者 曲 正樹  岡山大学, ヘルスシステム統合科学研究科, 助教 (50359882)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワードCaMKKβ / cAMP / PKA / Ca2+シグナル伝達 / タンパク質リン酸化反応 / AMPK / イソプロテレノール / HeLa細胞
研究実績の概要

CaMKKβ/AMPKカスケード反応は細胞内Ca2+の濃度上昇を引き金に開始するタンパク質リン酸化反応を介した細胞内情報伝達機構であり、種々の代謝調節機構やがん細胞増殖といった病態生理学的にも重要であると考えられている。当該研究において、CaMKKβが部位特異的なリン酸化反応により機能調節を受けることを見出した。HeLa細胞をイソプロテレノールにより刺激することにより、速やかにCaMKKβのThr144のリン酸化が上昇することを見出し、アドレナリン受容体を介したcAMP経路によるリン酸化調節が示唆された。確かにcAMP濃度の上昇を惹起するフォルスコリン刺激においてもCaMKKβのThr144のリン酸化が上昇することを確認した。さらにはこれらのアゴニスト刺激によるThr144のリン酸化上昇はPKA阻害剤であるH-89処理により完全に消失することから、cAMP/PKA経路によるリン酸化反応であることが明らかとなった。PKAの触媒サブユニットの遺伝子導入や精製したPKAを用いてもCaMKKβのThr144のリン酸化を観察できた。一方、試験管内においてPKAによりリン酸化させたCaMKKβはCa2+/CaM依存性を獲得する結果を得ることができた。またこのThr144のリン酸化はマウス脳組織より免疫沈降したCaMKKβにおいても認められた。これらの結果より、CaMKKβは生理的にcAMP/PKA経路によってそのThr144がリン酸化されることで、Ca2+依存性の酵素活性を保持していることが考えられた。これらはCa2+とcAMPの二つのセカンドメッセンジャーがCaMKKβ分子上でクロストークしている新しい細胞内シグナル伝達調節機構であると考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当該年度に得られた研究成果は、以下の国際学術誌に発表することができた。
Regulation of Ca2+/calmodulin-dependent protein kinase kinase β by cAMP signaling. Takabatake S*, Ohtsuka S*, Sugawara T, Hatano N, Kanayama N, Magari M, Sakagami H, and Tokumitsu H Biochim. Biophys. Acta.- General Subjects 1863, 672-680 (2019) (equal contribution*)
また、これまでの研究成果を以下の総説にまとめ、発表した。
Ca2+/calmodulin-dependent protein kinase kinase ―カルシウムシグナル伝達から創薬へ―徳光 浩 生化学 90(4), 452-461 (2018) doi:10.14952/SEIKAGAKU.2018.900452

今後の研究の推進方策

当該研究において見出したcAMP/PKA経路によるCaMKKβのリン酸化調節機構については、今後本リン酸化が他の刺激やリン酸化酵素によっても触媒される生理的可能性を探る。さらに逆反応であるThr144の脱リン酸化反応についても脱リン酸化酵素阻害剤等を用いて、細胞レベルで検証する。最近CaMKK相互作用分子を見いだすことができたため、この足場タンパク質を介したCaMKKの時空間的制御機構についてもタンパク質分子間相互作用の観点から明らかにする。またこれらのCaMKKシグナル伝達解析から、あらたな低分子量阻害薬の創製についても研究を開始している。これらは研究計画通りである。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Regulation of Ca2+/calmodulin-dependent protein kinase kinase β by cAMP signaling.2019

    • 著者名/発表者名
      Takabatake S, Ohtsuka S, Sugawara T, Hatano N, Kanayama N, Magari M, Sakagami H, Tokumitsu H.
    • 雑誌名

      Biochim Biophys Acta Gen Subj.

      巻: 1863 ページ: 672-680

    • DOI

      10.1016/j.bbagen.2018.12.012.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Ca2+/calmodulin-dependent protein kinase kinase ―カルシウムシグナル伝達から創薬へ―2018

    • 著者名/発表者名
      徳光 浩
    • 雑誌名

      生化学

      巻: 90 ページ: 452-461

    • DOI

      10.14952/SEIKAGAKU.2018.900452

    • 査読あり
  • [学会発表] CaMKKβシグナル伝達のAMPKおよびPKAによるリン酸化制御機構の解明2018

    • 著者名/発表者名
      大塚 里美, 高畠 翔太, 金山 直樹, 曲 正樹, 徳光 浩
    • 学会等名
      第91回日本生化学会大会
  • [学会発表] 高畠 翔太, 大塚 里美, 金山 直樹, 曲 正樹, 徳光 浩2018

    • 著者名/発表者名
      Ca2+/CaMKKβシグナル伝達のcAMP/PKAによるリン酸化制御機構
    • 学会等名
      第59回日本生化学会中国・四国支部例会
  • [図書] Methods Mol Biol.2019

    • 著者名/発表者名
      Sakane K, Yamaguchi F, Tsuchiya M, Kondo R, Kanayama N, Magari M, Hatano N, Kobayashi R, Tokumitsu H.
    • 総ページ数
      11
    • 出版者
      Humana Press, New York, NY
    • ISBN
      978-1-4939-9029-0

URL: 

公開日: 2019-12-27  

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