研究課題
研究期間全体(3年間)を通じて実施した研究成果を、研究計画の項目番号を用いて説明する。①1年目に追加サンプルの解析を行い、これまでに報告している結果と同様であった。②原発部位別に糖鎖の構造解析を行い異なっていることがわかり、その機序もわかった。③1年目で約20検体解析し、大変興味深い結果がO型糖鎖において観察された。④様々な糖転移酵素と糖分解酵素のmRNAは検出することができたが、HptのmRNAとタンパク質は検出することができなかった。⑤,⑥2年目および3年目においても検体が集まらず解析できなかった。⑦,⑪,⑬1年目に乳癌の4つの病型別にn=6で糖鎖の解析を行ったが、大きな差は観察されなかった。2,3年目では、糖鎖ではなくタンパク質に焦点を絞り解析を行った結果、1つのキャリアタンパク質が見つかった。⑧膵臓癌、胃癌、大腸癌、食道癌のHptの糖鎖の構造解析は、1,2年目で完了した。消化器癌か否かの違いで、フコースの結合様式が異なっていることがわかった。⑨2年目に各患者のLewis血液型情報を得られなかったため、Hptの対立遺伝子による表現型情報を得て糖鎖構造との違いを調べた。⑩Hpt糖鎖の構造は、癌細胞の場所、臓器の種類で異なることがわかった。また、癌細胞が転移する前後でフコースの結合様式が異なっていた。さらに、フコシル化Hptの生産機構の解明のための実験は3年目で行ったが、外因分子により肝臓で産生が促されていることがわかった。⑫3年目に、Hpt発現細胞株を作成し、Hptとヘモグロビンの結合能を調べ、Hptのフコシル化糖鎖と関係していることがわかった。研究期間全体を通して、膵臓癌と胆道癌においては、新規の腫瘍マーカー候補となりえる糖鎖を発見することができた。トリプルネガティブ乳癌においては、新規の腫瘍マーカー候補となりえるキャリアタンパク質を発見することができた。
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