研究課題/領域番号 |
18K06124
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研究機関 | 公益財団法人東京都医学総合研究所 |
研究代表者 |
Zhiying You 公益財団法人東京都医学総合研究所, ゲノム医科学研究分野, 主席研究員 (90332270)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | Claspin / DNA replication / DNA-binding / phosphorylation / de-phosphorylation / MCM helicase |
研究実績の概要 |
本研究では、Claspin のリン酸化、形態変化、関与するタンパク質との複合体形成、複製複合体に付随する種々の生化学活性に及ぼす影響を詳細に解析することにより、Claspin による複製開始と複製フォーク進行制御の機構の解明を目標に研究を始め, 次のような成果を得た。 野生型Claspin、5種類のClaspin変異体、とさまざまなclaspinフラグメントを精製し、キナーゼによるリン酸化や脱リン酸化、DNA結合、MCM2-7 DNAヘリカーゼ活性などの生化学的なアッセイを行った。1)Claspinの分子内結合の役割を解明するために、ClaspinのN端(1-135)がセンタードメン(897-1100)と複合体形成しないが、C端(897-1209)と複合体形成することから、N-C端の分子内結合をすることを見出した。2)293T発現から精製されたClaspinはすでにリン酸化がされていた。リン酸化されたClaspinはDNA結合活性を強力に阻害し、一方、lambda-PPase処理されたClaspinはDNAに非常に強く結合する。さらに、その阻害はCdc7キナーゼ以外のキナーゼによるものである。3)ClaspinはMCMと複合体形成になり、MCMの存在下で、ClaspinのDNA結合が促進された。4)Claspinの存在によるMcm2-7複合体のDNAヘリカーゼ活性が阻害される結果を得た。野生型Claspinは、Mcm2-7のヘリカーゼ活性を量依存的に阻害することを判明した。対照的に、酸性パッチ領域を削除したClaspinのC-del7変異体(Cdc7のリン酸化を受けない)は、MCMヘリカーゼ活性の阻害効果がなくなった。このように、Claspinによる複製フォーク進行制御に関わることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画されていた実験が順次行われた。
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今後の研究の推進方策 |
リン酸化がClaspinのDNA結合を阻害する原因であることを突き止める。リン酸化と脱リン酸化した欠損変異型と野生型Claspinを用いて、リン酸化やDNA結合などの生化学的なアッセイを行い、各活性への影響を比較することで研究を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
抗体などの試薬が共有されたため。今後、Claspinのpull down実験のための抗体費用に充てる。
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備考 |
東京都医学研究所HP: http://www.igakuken.or.jp/ ゲノム動態プロジェクトHP: http://www.igakuken.or.jp/project/to-tomin/to-pro01.html
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