研究課題/領域番号 |
18K06125
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
斎藤 将樹 東北大学, 医学系研究科, 助教 (50400271)
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研究分担者 |
助川 淳 尚絅学院大学, 総合人間科学系, 教授 (30187687)
佐藤 岳哉 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (10312696)
森 優 東北大学, 大学病院, 助教 (70634541)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 骨形成 / 骨芽細胞分化 / 一次繊毛 / ヘッジホッグシグナル / 4.1Gタンパク質 |
研究実績の概要 |
骨形成不全症は国の指定難病であり、効果的な治療法が確立されていない。骨形成不全症に新しい発症機序を見出すことは、治療法開発にむけた新しいアプローチに繋がる。 一次繊毛は細胞外に突出した不動性繊毛で、特異的に分布する細胞膜受容体があることから、シグナル受容器として働く。骨芽前駆細胞に形成される一次繊毛が分化シグナルを受容すると、骨芽細胞への分化 (骨芽細胞分化) が促進される。その後、骨芽細胞は骨細胞に分化し骨形成が進行する。この一連の骨形成プロセスは特に胎児期に必須であるが、その分子機構の多くが未解明である。本研究では、骨芽前駆細胞における一次繊毛形成と骨芽細胞分化を制御する因子として、細胞膜裏打ちタンパク質4.1Gに注目する。これまで、マウス骨芽前駆細胞株 (MC3T3-E1細胞) を用いた解析により、(1) 骨芽細胞分化の過程で4.1Gのタンパク質量が著しく減少すること、および (2) 骨芽前駆細胞中に4.1Gをノックダウン (KD) すると、一次繊毛形成と骨芽細胞分化がそれぞれ抑制されることを見出した。 骨芽細胞分化作用があり、かつその受容体が一次繊毛膜に分布する生理活性物質の一つとして、ヘッジホッグ (Hh) が知られている。当該年度では、Hhシグナルの特異的アゴニスト・パルモルファミン誘導性の骨芽細胞分化作用における4.1Gの役割を検討した。分化誘導培地で2日間維持した細胞をパルモルファミンで刺激し、一定時間後に細胞に含まれるHh依存的な分化マーカーのmRNA量をRT-PCR法にて検討した。その結果、Gli1およびパッチド-1のmRNA量が時間依存的に増加したが、4.1G-KDはいずれも有意に抑制した。このことから、4.1Gは一次繊毛形成を促進し、Hhシグナル依存的な骨分化シグナルの惹起に関わることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
骨芽細胞分化作用があり、かつその受容体が一次繊毛膜に分布する生理活性物質を探索することが当該年度の一つの目標であった。Hhシグナル受容体Smoothenedは、一次繊毛膜上に分布するときにはGli転写因子を関した骨芽細胞分化作用を示すが、一次繊毛以外の細胞膜に分布するときには、三量体Gタンパク質Giおよび低分子量Gタンパク質RhoAを介した別の生理作用を示す。本研究では、Hhのシグナルが4.1G-KDにより抑制されることを、MC3T3-E1細胞を用いた実験によって示すことができた。一方で、Hhシグナルの結果として亢進する骨芽細胞分化に対して4.1Gが果たす役割は検討できておらず、今後に課題を残す。 当該年度には、4.1G-KOマウスを信州大学医学部・寺田教授より譲渡して頂くことができた。まだ十分数のKOマウスが産まれていないため、KOマウス由来骨芽前駆細胞や骨組織を用いた実験は出来ていないが、次年度に向けた大きなステップを踏むことができた。 全体として、研究はおおむね順調に進行していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
MC3T3-E1細胞を用いた解析により、4.1G-KDによってHh由来骨芽細胞分化シグナルが抑制されることを示すことができた。しかし、そのシグナルのアウトプットである骨芽細胞分化に対する4.1Gの役割は検討できていないため、アルカリホスファターゼ活性測定によって解析する。 骨組織形成における4.1Gの役割を検討するため、生後1ヶ月の4.1G-KOマウスから脛骨を採取し、骨量や骨密度などの骨構造解析をマイクロCT法にて解析する。一方で、4.1Gが破骨細胞の活性に影響するかどうかを検討するため、TRAP染色を用いた破骨細胞活性を測定する。 一次繊毛形成における4.1Gの役割を検討することを目的として、4.1Gが一次繊毛内あるいは一次繊毛近傍に局在するかどうか、蛍光免疫染色法にて解析する。野生型マウス頭蓋骨由来骨芽前駆細胞中の内在性4.1Gの局在を、内在性抗4.1G抗体を用いて免疫染色法する。4.1G-KOマウス頭蓋骨由来骨芽前駆細胞をコントロールとして使い、比較検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
骨芽細胞分化を誘導する生理活性物質を探索する実験において、早い段階でヘッジホッグシグナルが4.1Gによって制御されることを見出すことができたので、他の候補物質については基本的に実験する必要性がなくなった。そのため、研究の進行が効率的になり、それら候補物質を購入する費用等が不要になったために、当初予定額より少額ですんだ。 次年度、骨芽細胞分化における4.1Gの役割を検討する実験に係る消耗品費に充てる予定である。
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