研究課題/領域番号 |
18K06127
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
植田 亮 東京大学, 医科学研究所, 助教 (10445025)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 神経筋シナプス / シグナル伝達 |
研究実績の概要 |
神経筋接合部(NMJ:Neuromuscular Junction)は運動神経の軸索末端と骨格筋の筋管(筋繊維)を結ぶシナプスであり、呼吸を含む個体の運動機能の制御に必須の役割を担う。NMJの形成には、筋管に存在する受容体型キナーゼMuSKを含む複合体の活性化と、それによる「NMJ形成シグナル」の駆動が重要であるが、この「NMJ形成シグナル」の実体は未だブラックボックスとされている。本研究においては、代表者が構築した培養細胞を用いたゲノムワイドスクリーニングとマウス個体における遺伝子発現制御の手法を用いた二次クリーニングにより、NMJ形成制御に関連する候補分子の網羅的な探索を実施すると共に、単離した候補分子のNMJ形成制御における機能の解析を推進し、「NMJ形成シグナル」の包括的な理解の端緒を拓くことを目指す。 本年度の研究においては、培養細胞を用いたゲノムワイドスクリーニングにより独自に単離したNMJ形成制御に関連する候補分子の一部についてマウス個体における二次クリーニングによる絞り込みを実施し、NMJ形成シグナルにおける当該分子の機能を解析した。加えて、当該分子のNMJ形成制御における生理的機能の解析を実施するため、その骨格筋特異的および全身における遺伝子欠損マウスの作出を進めた。この、培養細胞とマウスにおける解析系の確立により、次年度以降の当該分子の詳細な解析を円滑に進めることができる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究実績の概要」にも記載の通り、今年度は、NMJ形成に関連する候補分子の単離とin vitroの系を用いた機能解析、遺伝子欠損マウスの作出を進めた。次年度以降の当該分子の詳細な機能解析の準備が整いつつあると言え、上記区分を選択した。
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今後の研究の推進方策 |
ゲノムワイドスクリーニングにより単離したNMJ形成に関連する候補分子のうち、二次クリーニングによる絞り込みを実施し、NMJ形成シグナルにおける機能の解析に着手した分子については、in vitroおよびin vivoの両面から詳細な解析を進める。加えて、残りの全候補分子についても二次スクリーニングによる絞り込みを完了し、適宜その機能を解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
H30年度に作出に着手する遺伝子欠損マウスの数が、適切なノックアウトコンストラクト選定に予定より時間を要したため、当初想定していた数より少なく、未使用額が生じた。このため、一部の遺伝子欠損マウスの作出を次年度に行うこととし、未使用額はその経費に充てることとしたい。
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