現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
近年その生理的機能に注目が集まるDYRK1Aとその関連ファミリーキナーゼ群(DYRK1A, DYRK1B, DYRK2, DYRK3, DYRK4)に関して、これまでに同定したHsp90, Cdc37, DCAF7/WDR68に加えて、新たにFAM53Cを同定した。FAM53Cがタンパク質相互作用によってDYRK1Aの活性と細胞内局在を制御するという、非常に重要な結果を得ることができた。また、DYRK1Aがシグナル伝達分子のハブとして機能するという新たな知見を得た。さらにDCAF7/WDR68との関連性や重要な基質であるMAPT/Tauリン酸化への影響など、DYRK1Aを中心とする細胞内のタンパク質インタラクションネットワークの解明に大きく寄与する結果が得られたと考えている。研究成果の一部を2022年11月にフランスで行われたDYRK1Aに関する国際会議で発表し、その後更に実験を進めて得られたデータを加えて論文を完成し、現在投稿中である。得られた成果は単に細胞生物学的・生化学的な意義に留まらず、広くヒト脳神経系の発達や精神機能の分子的基盤の解明に寄与すると考えられる。
|