研究課題
C-mannosylation(以降、C型糖修飾)の新規酵素の同定を試みる本研究では、初めに新規な基質タンパク質の同定が必要であるため、昨年度までと同様にこれまでに報告のない新たな基質タンパク質の同定を試みた。本年度は、昨年度にC型糖修飾を同定していたMFAP4における詳細な解析をした結果、C型糖修飾されているMFAP4はC型糖修飾されていないMFAP4の分泌を促すことで細胞外のMFAP4量を調整していることを明らかにした。このことはFibrinogen C-terminal領域を有するタンパク質が、あまりC型糖修飾されていない場合の説明付けとしても妥当である。さらに、本年度はIsthmin-1タンパク質でのC型糖修飾を同定した。C型糖修飾されていたトリプトファンは2か所であり、両方ともthrombospondin type 1 repeat(TSR)領域にある。これまでTSR領域内で起こるC型糖修飾は、C型糖修飾されない変異体にすると分泌が抑制されるものの、完全に阻害されるわけではなかった。しかし、Isthmin-1の変異体では、C型糖修飾の抑制により完全に分泌されなくなった。さらに、それに付随してC型糖修飾されない変異体ではN型糖鎖修飾されるようになっていた。野生型とC型糖修飾されない変異型ではN型糖鎖修飾関連遺伝子の発現量に変化がなかったことから、今後、どのような機構でN型糖鎖修飾されるようになったのかを明らかにする必要がある。また、ADAMTS4ではTSR領域内で3か所と触媒領域で1か所のC型糖修飾を同定した。特に触媒領域近傍では通常のコンセンサス配列であるW-X-X-Wではなく、W-X-X-Cの配列中でC型糖修飾されていたことから、新たな酵素の探索には良い基質タンパク質である可能性が示唆された。
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