本研究では、小胞体内腔におけるレドックス(酸化・還元)制御に焦点をあて、カルシウムイオン(Ca2+)の取り込みと放出の両方向の制御機構を解明することを目的とした。ここでは、Ca2+ポンプSERCA2bの全長構造を初めて解き明かし、ERdj5によるジスルフィド結合の切断(還元)による促進が構造学的になぜ起こるのか、重要な知見となった。さらに、還元酵素ERdj5によってIP3受容体のCa2+放出活性に影響を与えることを見出した。さらに、取り込みおよび放出の両制御に関わることが明らかとなったERdj5欠損は、細胞内のCa2+恒常性の破綻を介し、ミトコンドリア形態に影響を与えることを明らかにした。
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