今後の研究の推進方策 |
SARSウイルス近縁のMERS-CoV(Middle Eastern Respiratory Syndrome Corona Virus)、手足口病ウイルス(Coxackievirus)等ピコルナウイルス、ノロウイルス、などピコルナウイルス様スーパークラスターに属するウイルスの3Cプロテアーゼまたは3CL(3C様)プロテアーゼ等、数種類のウイルスの3Cまたは3CLプロテアーゼについて、大腸菌由来の無細胞タンパク質合成系での発現を行い、自己プロセシング部位由来の基質を用いた酵素学的研究を行う。 これには申請者の開発した方法を用い、簡便に酵素学的パラメーターを得ることができる(Muramatsu et al., FEBS J. 280,2002-2013 (2013))。具体的には、ポリタンパク質中でのウイルス領域とその前後のプロ配列10アミノ酸残基を含む形で発現するプラスミドを作成する。プロテアーゼのコア領域をサイズの異なる別のタンパク質(たとえばGFP)に置き換え、これを基質とする(オートプロセシングによる切断の特異性をトランス反応により調べる)。プロテアーゼ(3CL)および基質を大腸菌無細胞タンパク質合成系により別個に発現し、それらを混合し、インキュベートすることにより基質の分解をSDS-PAGEによりモニターする。この際、酵素(3CL)の希釈系列を作成し、一定時間に50%基質を分解する希釈率でkcat/KMを見積もる。この際、ある一つの基質について別に測定したデータ(ラインウィーバーバークプロット)を基準とする。 それぞれの酵素について、基質分子の、P4,P3,P2,P1,P1', P2', P'3, P4'位のアミノ酸置換を行い、特異性を検討する。この 際、各部位の変異導入よる切断されやすさを検討するとともに、各部位間での協同性も検討する。
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