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2018 年度 実施状況報告書

膜内外コミュニケーションを可能にする膜貫通型アンカーペプトイドの創製

研究課題

研究課題/領域番号 18K06146
研究機関東北大学

研究代表者

最上 譲二  東北大学, 工学研究科, 助教 (70713022)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワードペプトイド / 膜貫通ヘリックス / リン脂質二重膜 / MDシミュレーション / 自由エネルギー計算 / リポソーム
研究実績の概要

本研究の目的は、膜と相互作用する膜貫通タンパク質のペプチド骨格を模倣したプローブ分子を創製し、膜との相互作用特性を評価する事である。
上述した目的達成のために、課題1(膜貫通型アンカーペプトイドの合成・評価)、課題2(分子動力学法を用いた自由エネルギー計算)、課題3(膜貫通型アンカーペプトイドを用いた機能性分子の評価)について計画しており、本年度は課題1と課題2について実験・計算に取り組んだ。
課題1:膜貫通型アンカーペプトイドの合成・評価を行った。ベース骨格として比較的研究されている25残基からなる6Kペプチドについてアラニン及びロイシンをペプトイドで置き換えたオリゴマーを17残基まで合成した。伸長途中のペプトイドを一部トリフルオロ酢酸で切り出しMALDI-TOF-MSで質量分析を行い目的のオリゴマーを確認できた。また、比較のために6Kペプチド及びN末端のリシン残基をアルギニンに置換したR-6Kペプチドを合成した。質量分析の結果、目的のペプチドを得る事ができた。CDスペクトル測定によりαヘリックス構造をとっている事が分かりSDSを用いて膜環境を模擬するとαヘリックス構造がより強調されることが確認できた。ペプチドのN末端にFITC蛍光色素を修飾しHeLa細胞への暴露試験を行い共焦点顕微鏡により挙動観察したところ細胞膜にペプチドがアンカーされている様子を観察できた。DSCおよびITCによる熱測定を行い、6Kペプチド-POPCリポソーム相互作用の存在を確認できた。
課題2:6KペプチドとDOPC二重膜の分子動力学シミュレーション及び自由エネルギー計算を行った。エネルギー計算はER法を用いた。その結果、6KペプチドがDOPC二重膜に貫通している時に安定になることが判明した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の予定通り課題1と課題2について実施した。課題1の中でペプトイドの固相合成が現在進行中であるが、17残基までの合成条件が確立できたので、これを基にペプトイドを合成し評価をする基盤が整っている。課題2において、ペプチドについて順調に分子動力学シミュレーション及びエネルギー計算ができている。これまでの計算により現在所持している計算環境について、コア数は十分であるが、メモリが不足している事が判明した。次年度に予定していたワークステーション増設の代わりにメモリを増設する事で、より正確なエネルギー計算が可能になる。

今後の研究の推進方策

課題1:ペプトイドの合成・評価に注力する。課題2:ペプトイドのCHARMM力場を適用しペプトイドの計算を行う。また、ペプチド及びペプトイドが膜に平行に吸着した場合の計算も行う。課題3:ペプトイドの合成が完了次第実施する。蛍光修飾したアクチン存在下でリポソームを作成し、ペプトイドのN末端にアクチンフィラメントと特異的に結合するファラシジンを修飾し、その相互作用する様子を蛍光観察により分析する。

次年度使用額が生じた理由

MALDI-TOF-MSの測定が予定より順調に進み予定していた使用時間より少なく済み使用料に差額が生じたため。次年度は脂質や蛍光色素など購入試薬費が増大する見込みであり、その経費に充当する事で有効に使用する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2018

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 細胞膜アンカーを目指したαヘリックス型ペプトイドの合成2018

    • 著者名/発表者名
      最上譲二、大場倭利、山本雅哉
    • 学会等名
      第56回日本生物物理学会年会
  • [学会発表] 細胞標識を目指した蛍光標識細胞膜アンカー型ペプチドの合成2018

    • 著者名/発表者名
      大場倭利、最上譲二、森本展行、山本雅哉、平野義明
    • 学会等名
      第40回日本バイオマテリアル学会大会

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公開日: 2019-12-27  

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