Synechococcus elongatus PCC 7942株 (Se)で初めて同定されたシアノバクテリア由来の概日時計はSe-KaiA、Se-KaiB、Se-KaiCの3種類のタンパク質から構成される。これら3種類の時計タンパク質をATPとともに混合すると、約24時間周期の自律的なリズムが試験管の中に再構成される。我々は以前、概日時計の振動性およびその周期長がSe-KaiCただ1種の酵素の中に内包されていることを突き止めた。こうした背景を受けてKaiタンパク質時計の進化、多様性の分子起源を探るべく、S. elongatus以外のシアノバクテリアやその他のバクテリア、そしてアーキアなど他種KaiCの機能解析に着手した。初年度に立ち上げた大腸菌による発現スクリーニング系を活用し、今年度は新たに3種の他種KaiCを調製した。取得した新規KaiCは主に海水性の種に由来するものであり、研究期間内に揃えた計13種の他種KaiCの中には多様な生育環境へ適応するための特性が含まれているといえる。これら他種KaiCの振動性およびその固有振動数、また酵素機能の触媒効率とその温度依存性を指標に分類したところ、おおよそ3つのグループに大別できることを明らかにし、現生KaiCの多様性が段階的な機能進化を経て形作られた可能性を見出した。
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