ISCA1は、クリプトクロムとともに、磁気を知覚する感覚(磁覚)の機構を担う可能性がある蛋白質である。本研究では、ISCA1の構造・物性を明らかにするために、磁場印加・非印加条件下においてX線小角散乱解析を実施した。その結果、(i)カワラバト由来ISCA1は構造多型性を有し、二種類の構造(球状と棒状)を形成すること、(ii)球状のISCA1は柱状自己会合体を形成し、その会合面に鉄硫黄クラスターを結合して磁化率や磁気異方性を増大しうること、(iii) ISCA1柱状自己会合体の成長は磁場によって制御されることなどが明らかになった。得られた知見は、磁覚の蛋白質分子基盤の解明に資する。
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