研究課題/領域番号 |
18K06175
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
平野 研 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (80392653)
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研究分担者 |
寺尾 京平 香川大学, 創造工学部, 准教授 (80467448)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 生物物理 / ナノバイオ / マイクロ・ナノ流体デバイス / DNA1分子 / 環状DNA |
研究実績の概要 |
本研究課題においては、環状DNA1分子を「輪」の状態で観察して、酵素反応等を直接リアルタイムで解析することを最終目的としている。顕微鏡観察下において、独自の分子輪投げデバイ スにより、環状DNA1分子を輪投げの要領でマイクロピラーに引っ掛けて「輪」の状態で捕捉する。この捕捉技術により環状 DNAと酵素(ジャイレース等)や核酸結合タンパク質(ヒストン等)、周囲溶液環境との相互作用など解析を行い、環状DNAの構造・形態変化のダイナミクスの他、DNAのねじれ(トポロジー)そのものや生体イベントとの関連性をリアルタイム観察により1分子レベルで明らかにし、また直接観察により予測等に対する直接的なエビデンスを示すことを目的としている。 本年度は、分子輪投げ用のマイクロ流体デバイスの開発に取り組むと共に、分子輪投げデバイスを拡張し、分子輪投げした後、ピラーを中心に微小電極対により回転電界を形成し環状DNA1分子を 「真円」としてリアルタイム観察する分子フラフープ捕捉法の開発に取り組んだ。前者では、マイクロ流路中にマイクロメートルサイズのピラーを立て、ピラー構造(直径等)や流れの検討を行い高効率に環 状DNA1分子を分子輪投げ(補足)できる好適なチップを達成できた。後者においては、前者の手法が確立した後に検討し、マイクロ流路内に回転電界を形成するためフォトリソグラフィや真空蒸着法などにより微小電極の作製を試み、各種電極デザインによる最適な回転電場形成のための検討を行うことにより、回転電場による環状DNA1分子の分子フラフープ捕捉を示唆できる基礎的成果を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
分子輪投げ用のマイクロ流体デバイスの開発を達成した。分子フラフープについては、回転電場を形成するための電極作製とデザイン検討に時間を要したが、回転電場による環状DNA1分子の捕捉を示唆できる成果を得ている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、引き続き分子フラフープ法の確立に取り組むと共に、当初計画通り環状DNAータンパク質複合体によるリアルタイム観察に取り組むことを考えている。現状では、研究計画の大幅な変更は考えていない。
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次年度使用額が生じた理由 |
おおむね計画通りに予算を使用したが、少し条件検討の翌年度にずれ込んだ検討について、20万円弱の残額が生じた。来年度も引き続き検討を行うために、当該予算を使用する。
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