研究課題
環状DNA1分子を「輪」の状態で観察して、酵素反応等を直接リアルタイムで解析する。観察方法は、独自の分子輪投げデバイスにより、環状DNA1分子を輪投げの要領でマイクロピラーに引っ掛けて「輪」の状態で捕捉する。この捕捉技術により環状DNAと酵素(ジャイレース等)や核酸結合タンパク質(ヒストン等)との相互作用など解析する。これにより、環状DNAの構造・形態変化のダイナミクスの他、DNAのねじれ(トポロジー)そのものや生体イベントとの関連性をリアルタイム観察により1分子レベルで明らかにし、また直接観察により予測等に対する直接的なエビデンスを示すことを目的としている。今年度は、2種類の分子輪投げデバイスを検討した。一つ目は昨年度に引き続き、ピラーを中心に微小電極対により回転電界を形成し環状DNA1分子を深淵としてリアルタイム観察する分子フラフープ法の開発に取り組んだ。マイクロ流路中に形成したマイクロメートルサイズのピラーを中心に電極間隔100マイクロメートルの3電極対を配置し、分子フラフープ法を試みた。しかし、回転電場の角速度や電界強度など種々の条件を検討したものの現段階ではジュール熱等による対流により真円として安定的に観察する手法とはなり得なかった。当該手法を確立するためにはデバイス構造の更なる検討などが必要でありまだ検討時間を要すると思われた。2つめは、分子輪投げをマイクロ流路内でアレイ化するデバイスを検討した。結果、ピラーをアレイ化することに加え最適な流路(流線)デザイン、流速、ピラー直径を最適化することで、これまでは困難であった90%以上の捕捉率で分子輪投げした環状DNAのアレイ化を達成した。これにより、トポロジーに関連する核酸結合酵素や核酸結合タンパク質の相互作用のダイナミクスを計測することが可能となった。
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