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2020 年度 実績報告書

神経変性疾患の原因遺伝子が引き起こすクロマチン構造変換の分子機構の解析

研究課題

研究課題/領域番号 18K06187
研究機関国立遺伝学研究所

研究代表者

井手 聖  国立遺伝学研究所, 遺伝メカニズム研究系, 助教 (50534567)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワードリボソームRNA遺伝子 / 核小体 / 遺伝疾患
研究実績の概要

リボソーム合成工場である核小体には、大量のリボソームRNA(rRNA)を供給するためにrRNA遺伝子(rDNA)が局在する。転写因子UBFがrDNA領域全体に結合することでユニークなクロマチン構造を形成することでRNAポリメラーゼIによる連続かつ高速な転写が可能となる。これまでに転写因子UBFが神経疾患の原因変異として同定されており、変異型UBFがrRNAの転写を亢進させハイパーアクティブ状態へと引き上げることで原因であると考えられてきた。本研究では新たに神経疾患の患者から同定されたRNAポリメラーゼIのサブユニットの二種類のヘテロ接合型変異についての解析を横浜市立大学松本直通先生と共同で行った。この遺伝子をクローニングし、部位特異的変異を挿入後、培養細胞で発現させたところ、変異型のタンパク質の発現は確認できなかった。このことから変異型タンパク質は細胞内において不安定であり、両アリルともに機能喪失性(Loss Of Function)変異であることが明らかとなった。また、マウスES細胞においてゲノム編集技術を用いて片側アリルを欠損させることで、ヘテロ接合性変異型の細胞を作製し、神経前駆細胞に分化後リボソーム合成に与える影響について調べた。POLR1B+/- 細胞株ではコントロールの親株と比べてrRNAの転写レベルが60%ほどに低下していることがわかった。したがって、新たに解析した神経疾患の原因変異はrRNAの転写をハイパーアクティブ状態にするものではなく、むしろ転写の活性を低下させるもので、その結果神経疾患を引き起こすことが示唆される。また同じRNAポリメラーゼIの変異で神経疾患ではなく四肢顔面骨形成不全を引き起こす変異を解析したところ、液-液相分離が関与していることを計らずして見出した。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2021 2020 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件) 図書 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 1,6-hexanediol rapidly immobilizes and condenses chromatin in living human cells2021

    • 著者名/発表者名
      Itoh Yuji、Iida Shiori、Tamura Sachiko、Nagashima Ryosuke、Shiraki Kentaro、Goto Tatsuhiko、Hibino Kayo、Ide Satoru、Maeshima Kazuhiro
    • 雑誌名

      Life Science Alliance

      巻: 4 ページ: e202001005

    • DOI

      10.26508/lsa.202001005

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Transcriptional suppression of ribosomal DNA with phase separation2020

    • 著者名/発表者名
      Ide Satoru、Imai Ryosuke、Ochi Hiroko、Maeshima Kazuhiro
    • 雑誌名

      Science Advances

      巻: 6 ページ: eabb5953

    • DOI

      10.1126/sciadv.abb5953

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 相分離に伴うリボソームRNA遺伝子の転写抑制2021

    • 著者名/発表者名
      井手聖、今井亮輔、大地弘子、前島一博
    • 学会等名
      第38 回 染色体ワークショップ/第19 回 核ダイナミクス研究会
  • [学会発表] 相分離に伴うリボソームRNA遺伝子の転写抑制2020

    • 著者名/発表者名
      井手聖、今井亮輔、大地弘子、前島一博
    • 学会等名
      第43回日本分子生物学会年会
  • [図書] 現代化学増刊46『相分離生物学の全貌』白木 賢太郎 (編集)2020

    • 著者名/発表者名
      井手聖, 前島一博
    • 総ページ数
      6
    • 出版者
      東京化学同人
  • [備考] 転写は「液滴」によって制御されていた!

    • URL

      https://www.nig.ac.jp/nig/ja/2020/10/research-highlights_ja/pr20201015.html

URL: 

公開日: 2021-12-27  

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