研究実績の概要 |
従来型ミスマッチ修復機構ではinsertionやdeletionを含む様々な種類のミスマッチを認識し、修復する事ができる。一方で我々はC. glutamicumのEndoMSが複製エラー修復を担うこと、G/T,G/G,T/Tミスマッチのみを特異的に切断することを明らかにしていた。2017-2018年度にかけてC. glutamicumにおいて全ゲノムレベルでの変異を検出するMutation Accumulation Assayを行い、EndoMSの基質特異性がendoMS遺伝子破壊株で発生率が上昇する変異の種類とうまく合致することを示す結果を得た。これらの結果から、EndoMSは短いinsertionやdeletionのによるミスマッチを認識できないにもかかわらず、C. glutamicumでは短いinsertionやdeletionの発生率が従来型システムをもつ生物と大きく変わらないことが明らかとなった。これらの結果をまとめた論文を2018年にNucleic Acid Research誌に発表した。 2019年度は分担研究者らによるEndoMSの細胞内での切断様式に関する研究で進展があり、試験管内での再構成系による実験において切断様式が明らかとなりつつある。また、2019年度からの追加課題としたinsertion, deletionの抑制機構の解析に関しては、insertion, deletionの変異が起こった変異体を選抜できる系(indel変異率測定系)を確立した。候補遺伝子(様々なnuclease)破壊株におけるindel変異率測定から、insertion, deletion抑制に関わると考えられる遺伝子を同定した。
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