研究課題/領域番号 |
18K06192
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
吉岡 恭子 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (50358321)
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研究分担者 |
栗田 僚二 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究グループ長 (50415676)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | RNAエピジェネティクス / N6メチルアデノシン / イムノアッセイ / 表面プラズモン共鳴法 / 大腸菌RNA |
研究実績の概要 |
修飾核酸塩基を認識する抗体が核酸二重鎖の高次構造、特にバルジ構造内の塩基に特異的に結合することを利用し、大腸菌rRNA配列中の修飾塩基を測定した。バルジ構造内にある塩基は自由に回転でき、抗体に認識されやすいと考えられる。 まずは、細菌の抗生物質耐性機構に関与することが知られている23S rRNA2058位のN6-メチルアデノシンを検出ターゲットとした。ターゲット塩基の位置でバルジ構造を形成するDNA配列をプローブとした。合成オリゴRNA配列中の特定N6メチルアデノシンを、表面プラズモン共鳴法(SPR)およびマイクロタイタープレートを用いたイムノアッセイ法により測定した結果、検出限界濃度は0.5 nM、バルジ構造にあるN6-メチルアデノシンへの抗体結合は、KD=~10-8 (M)とアフィニティは十分高いことが解った。 大腸菌より精製したRNAの特定N6-メチルアデノシン(23S rRNA2030位、野生株でメチル化されているアデノシン)も同様に、RNA制限酵素による断片化処理とバルジ形成DNAプローブとのハイブリッド鎖のイムノアッセイ測定により配列選択的に検出できることを示した。大腸菌RNA実試料は、最少で5 ngあれば増幅なしでも検出可能であることも示した。 本課題で開発したイムノアッセイ法は、RNAの特定修飾塩基を、DNAへの逆転写やPCR増幅させることなく、配列選択的に簡易検出できる方法として意義がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は、研究実施計画に従って研究は順調に進み、得られた研究成果は、学会発表(日本分析化学会年会)と論文発表を行った。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、本課題初年度で開発した修飾核酸塩基イムノアッセイ法を利用した小型測定デバイスの開発に取り組む。大腸菌RNAアデノシン塩基のN6メチル化計測を、開発した小型測定デバイスで行う。メチル化酵素欠損株や突然変異による抗生物質耐性株を取得し、RNAのアデノシンのメチル化状態の簡易計測を検討する。動物培養細胞RNA(rRNA、mRNA、マイクロRNA等)のメチル化計測へも測定対象を拡げる。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度、イムノアッセイ用装置の導入を計画していたが、研究室既有の装置を使用することで導入の必要がなくなった。2019年度以降は、新規測定デバイスのチップ作成費等(消耗品)に使用する予定である。また、イムノアッセイ用既有装置の老朽化があるので、更新する可能性もある。
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