研究課題
初年度は、DNA-RNAハイブリッド鎖の高次構造、特にバルジ構造内にある核酸塩基が自由に運動でき、抗体がその核酸塩基を選択的に認識することを利用したRNAの特定N6-メチルアデノシン検出法を実証し、大腸菌23S rRNAの特定N6-メチルアデノシン一塩基の配列選択的な検出が可能であることをイムノアッセイ法により示した。令和元年度は、大腸菌RNA N6-メチルトランスフェラーゼ欠損株RNA試料を用い、本イムノアッセイ法により特定アデノシンのN6-メチル化or非メチル化が識別可能であることを示した。特定アデノシンのN6-メチル化率を計測できることも示した。また、金薄膜上にDNA-RNAハイブリッド鎖を固定したセンサーチップを作成し、抗体の結合を、表面プラズモン共鳴小型デバイスを用いて計測した。抗体結合は、二次抗体などによるシグナル増幅なしで検出できることを示した。本マイクロデバイスを用いたイムノアッセイ法では、試料の固定化と抗体によるターゲット修飾塩基の検出を30分以内で行うことができた。最終年度は、測定対象をヒト培養細胞RNAへと拡げ、本イムノアッセイ法が、肝がん細胞rRNAの特定N6-メチルアデノシン一塩基の配列選択的な検出にも適用できることを示した。また、薬剤添加により状態を変化させた肝がん細胞について、polyT配列に結合するRNA試料(mRNA)アデノシンのN6-メチル化状態の変化を、肝特異的なマイクロRNAの配列を参考に設計したDNAプローブを用いて調べることを試みた。本研究により開発したRNA塩基修飾検出法は、RNAの修飾情報を迅速・簡便に取得する測定法であり、マイクロデバイス化への展開が可能な方法であることを示した。
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