研究課題/領域番号 |
18K06199
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研究機関 | 東京電機大学 |
研究代表者 |
根本 航 東京電機大学, 理工学部, 准教授 (10455438)
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研究分担者 |
藤 博幸 関西学院大学, 理工学部, 教授 (70192656)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | Autoencoder / インターフェイス |
研究実績の概要 |
本研究では、GPCR遺伝子上に見出されている変異の中に、GPCR間相互作用に影響を及ぼし疾患を誘発するものが存在するか否かを予測する。存在する場合、それらはどのような立体構造領域での、どのようなアミノ酸間の変異かを解析する。また、変異サイトと他の機能部位(オルソステリック部位、アロステリック部位、脂質・コレステロール結合部位)とは構造・機能的に影響を及ぼしあうかについて解析する。昨年度は、開発済みであったGPCR間相互作用ペア予測手法(GGIP)を、ヒト配列を扱えるように、また、ヘテロのみならずホモダイマーも取り扱えるよう拡張した。マルチレイヤーパーセプトロンを適用したが予測精度の改善はわずかに留まった。 今年度は、2つの方針で予測精度の改善を試みた。まず、配列と構造を組み合わせた情報からAutoencoderにより特徴抽出を行った後、SVMで予測を行ったところ、平均AUCが0.992となった(関西学院大学)。次に、昨年度拡張を済ませているGGIPのまま、正例と負例の比率を変化させたところ、比率が1:1の時、平均AUCは最大となった。 インターフェイス予測を行うためのプログラムであるGRIPは開発当初のバージョンをウェブ上で公開してあったが、今回、予測に利用できるGPCR立体構造数を増やせるようプログラムを改良し、その成果を査読付き学術誌上で報告した。 GPCR遺伝子上に見出されている変異情報を、COSMICとUniProtから取得した。前者からは発がんに関与することが示唆されている体細胞変異、後者からは疾患全般に関与することが示唆されている生殖細胞系列細胞での変異を取得した。これらのうち、GPCR間相互作用に影響を及ぼすものが存在するか否かを予測するため、野生型ペアを用いたときのGGIPによる予測結果と、変異型を含むペアを用いたときの予測結果を解析している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Autoencoderを利用することで、予測精度を改善することに成功した。変異が及ぼす相互作用ペアに及ぼす影響を解析し始められている。相互作用のためのインターフェイスを解析するためのツールの修正作業はすでに終わり、論文として報告することができている。
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今後の研究の推進方策 |
1. GGIPによるGPCR間相互作用ペア予測サービスをウェブ上で公開する。 2. GPCR間相互作用に影響を及ぼし疾患を誘発する変異の予測を完了する。そのような変異はどのような立体構造領域での、どのようなアミノ酸間の変異かを解析する。また、変異サイトと他の機能部位(オルソステリック部位、アロステリック部位、脂質・コレステロール結合部位)とは構造・機能的に影響を及ぼしあうかについて解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
解析用サーバを接続する無停電電源装置の購入を次年度に行うこととした。 研究成果発表の招待を受け、論文校閲費を次年度に使用することとした。
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